外食売上が急減、飲食業の収益構造は?

今回は、コロナの影響を大きく受けている飲食業についてです。
とても、とても大変です。なんとか踏ん張って生き抜いていきましょう。

 

■3月の外食売上高17.3%減

新型コロナウイルス感染拡大にともなって非常事態宣言が全国に出されています。
通常の経済活動がほぼストップしているため、ほとんどすべての業界が経営的なダメージを受けています。中でも、最も痛手を被っている業界のひとつが飲食業界だと思います。
↓↓↓

<3月の外食売上高17.3%減 現調査形式で最大の落ち込み>
(2020年4月27日付日本経済新聞)
『日本フードサービス協会(東京・港)が27日発表した3月の外食売上高(全店ベース)は前年同月比17.3%減と5カ月ぶりに前年実績を下回った。
減少幅の大きさとしては東日本大震災のあった2011年3月の10.3%減を上回り、現在の調査形式となった1994年1月以降で最大の落ち込みとなった。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、全業態で客足が減少した。』

3月の外食売上が過去最高に落ち込んだとのことですが、恐らく4月はもっと悪い数字が出ることと思います。
通常なら、3月・4月といえば、卒業、入学、送別会や歓迎会などが続き、
飲食業界にとっては大きな稼ぎ時です。その売上をすべて失ってしまったわけです。この打撃は計り知れません。

 

■飲食業の収益構造は?

飲食業は中小・零細企業がほとんどです。収益構造はもともと脆弱です。
飲食業の一般的な経営指標を見てみます。

飲食業の営業利益率は10%を超えていたら優良な方で、平均的に5~8%くらいです。
営業利益率というのは、売上高から原価や人件費、家賃などの経費を引いて残った営業利益の割合のことです。

また、飲食業の経営を見る際によく使われる指標に、FL比率(food=食材費、labor=人件費)があります。売上高に対して、食材費と人件費がどれくらいあるかを見るものですね。

FL比率はお店の業態によっても異なりますが、おおよそ50%~60%くらいです。
50%を切っていたら優良な高収益店だと言えますし、60%を超えていたらコストがかかりすぎているので収益性が低く、あまり儲かっていないお店だと思います。65%を超えたまま経営を続けるといずれ破たんするレベルと言われています。
この「FL」に、家賃(Rent)を加えた、FLR比率というのもあります。FLR比率はだいたい60%~70%くらいでしょうか。

例えば、月間の売上高を100としたときに、食材費30、人件費30、家賃10でFLRコストが70です。さらに水道光熱費7、リース料3、減価償却5、その他経費(通信費とか宣伝広告費など)10としますと、費用の合計は95。
残った営業利益は5ということになります。

月間1,000万円売り上げて、営業利益が50万円残るということです。
ここから借入金の返済などをするわけですから、割とギリギリです。

この収益構造のお店だと、だいたい売上が7%以上落ちると赤字になります(←変動費率を35%とした場合の損益分岐点比率が92.3%になるため)。

それが、3月の売上高が業界平均で17%以上落ち、そして4月はそれ以上に落ち込んでいると見られているわけです。ほとんどのお店が赤字だと思います。

 

■低収益構造の飲食店にとって赤字を取り戻すのは極めて大変

営業利益率5%とすると、単純に逆算すると10万円の営業利益を得るためには、200万円の売上が必要ということになります。
これは零細飲食業にとってはとても重たいものです。
今はまずは費用支出を抑えて大きな赤字を出さないようにするしかありません。

休業を余儀なくされて、お店が動いていないのであれば、食材費や光熱費などの変動費はさほどかかりませんので、問題は人件費や家賃などの固定費。そして借入の返済です。
政府は、中小企業に対しては休業手当の100%負担を予定しています。
また、家賃の減免についても対策が検討されています。

収益性の高くない企業が赤字を取り戻すのは非常に難しいことです。
売上の回復が見込めない間は、出来る限りの費用支出を抑えて赤字を極力抑えねばなりません。

それでも、今の状況があと1か月も続いてしまったら、中小・零細の飲食事業者は壊滅的な状態になると思います。

 

■冷静に、賢明に、考えて、生き延びましょう

あと、借入返済が苦しい場合には取引金融機関に返済猶予の相談をすべきです。今は多くの金融機関が、新たな融資も返済条件の見直しにも柔軟に対応してくれています。

一例ですが、第一勧業信組の理事長さんのインタビューに地域金融機関の心意気を見た思いです。
↓↓↓

<第一勧業信組理事長「コロナで破綻はさせない」>
(2020年4月22日付日本経済新聞)
『中小零細の融資先が多い第一勧業信用組合の新田信行理事長に対応を聞いた。
(新田理事長)
「1000万円以上を融資している約2,500社の4割から資金繰りの相談がきている。飲食店やバーが多い銀座の営業店では、ほぼ全ての取引先から条件変更の要請がきてパンク気味だ。コロナの影響がなければ倒産しない取引先は一社たりとも潰さないという方針でやっている。
コロナ特別枠をつくって自前の低利融資も始めた。
(中略)多くの経営者はショックが大き過ぎて、ぼう然自失としている。
孤独で私の前で泣いた社長もいる。誰かが話し相手にならないと自助努力もできない。資金繰りで頭がいっぱいなので「資金繰りは任せろ。一緒に乗り越えるぞ」と激励し、取引先の商品を買い上げるところから始めた。」』

この先がどうなるのかは、誰にも予測出来ない状況です。
もしかしたら、コロナが落ち着いた後、経済は急速に回復するかもしれません。そうではなく、もしかしたら私たちの暮らしは以前のようには戻らないかもしれません。

ただ、不安が強くなりすぎるとパニックになって、冷静な判断が出来なくなります。国とか自治体とかに頼りすぎると思考停止になります。

大事なのは、冷静に、賢明に、自分でよく考えることなのでしょう。

誰しもが不安な日々を送っていますが、経営とか生活とかには不安があるのが当たり前、と考えて、「自分でなんとかする、自分ならなんとかできる」と強く信じて、人生を切り拓いていくしかありませんね。

皆で助け合いながら、ともに生き延びていきましょう。

今回は以上です。
一日も早く平穏な日々が戻りますように。

2020年4月28日 火曜日 17:07 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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