安倍首相、辞任 評価が分かれるアベノミクスを振り返る

こんにちは!ハッピーリッチ・アカデミーの川瀬です。
安倍首相が辞任しました。安倍政権の看板政策「アベノミクス」を振り返ってみたいと思います。

 

■安倍首相、辞任

今週のトップニュースといえば、こちらでしょう。
安倍首相、志半ばで辞任です。
↓↓↓

<安倍首相が辞任 持病再発で職務困難>
(2020年8月29日付 日本経済新聞)
『安倍晋三首相(自民党総裁)は28日夕、首相官邸で記者会見し、辞任する意向を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が8月上旬に再発し「体力が万全でない中、政治判断を誤ることがあってはならない」と説明した。新総裁が決まり次第、内閣総辞職する。』

持病の再発ということで致し方ないことだと思います。
安倍首相にとっては、ご自身が「必ず自分の手で成し遂げる」としていた日本人拉致問題や北方領土問題を解決できなかったこと、そして政治的理念でもあった憲法改正にも手をつけられなかったことは無念であっただろうと思います。

評価する声、評価しない声、安倍首相ほど賛否が分かれる政治家もいないと思いますが、それくらい存在感があったということでしょう。
まずは7年8か月もの間、国のトップという重責を担われたことに一国民として感謝したいと思います。
お疲れ様でした。

 

■評価が分かれるアベノミクス

安倍政権の看板政策といえば、「アベノミクス」。
これも評価が分かれるところです。

「金融緩和」+「財政出動」+「成長戦略」。
これを「アベノミクス三本の矢」として政策を打ち出していきました。

金融緩和でマネーストックを増加してデフレを抑制するとともに、円高を是正する、財政出動で需要を喚起して景気回復を目指しました。
これらの政策は企業の後押しとなり、企業業績は拡大。結果、安倍首相が就任した当時1万円程度だった日経平均株価は2万3千円と2倍以上に上がりました。

日本企業の業績の回復に伴って雇用も拡大。有効求人倍率は上がり、失業率は下がりました。コロナ前の2019年後半には失業率2.2%と過去最低水準にまで下げることができました。

日本企業のキャッシュフローは増大し、内部留保も増えました。
これも「日本企業はお金をため込みすぎ」などと批判も多かったのですが、結果として日本の大手企業は新型コロナで経済活動が停滞しても持ちこたえられるだけの耐性を持つことが出来ました。これは幸いだったと思います。

「安倍首相辞任」の報を受けて市場は動揺しました。
8月28日の午後2時頃から日経平均株価は一気に600円ほど下げました。
国債が売られ、一時的に長期金利は上昇、円も急伸しました。

それが、週が明けて31日午前、株価は再び上昇し、市場は元の平穏さを取り戻しました。
これは、経済政策や新型コロナウイルス対策など安倍政権の基本路線を引き継ぐとみられる菅義偉官房長官が出馬を表明したからでしょう。

これら市場の動きは安倍政権の一連の経済政策が、株式市場の、特に影響力の大きい海外投資家などから評価されているということだと思います。

 

■アベノミクスが失速した要因

ただ、アベノミクスはスタートこそ良かったものの、明らかに後半は失速しました。
GDPの実質成長率は、就任当初こそ2%を超えていたものの、2度の消費増税のたびにマイナスに転じます。そして最後はコロナによって結局GDPは安倍政権前の水準まで落ちでしまいました。
安倍首相任期中の実質成長率の平均は1.1%だったようです。

金融緩和をどれだけ続けても、毎年膨大な財政出動をしても、需要はなかなか喚起されません。物価2%上昇のマイルドインフレの目標にも届かず、最後まで経済回復の軌道に乗せ切れませんでした。
副作用として、市場の買い支えで日銀の資産が膨張しましたし、大きな財政支出を続けたことで国の負債を増やしました。

これはアベノミクスが失敗だったというよりも、日本が抱えている人口減少と少子高齢化という経済拡大にとってはマイナスに働くパワーが強すぎたのだろうと思います。この経済的にものすごいマイナスのパワーを持つ構造的な問題に対しては、本質的な日本経済の構造改革が必要だったのでしょう。
ただ、そんなことはアベノミクスを設計した安倍政権のブレインのみなさんも当然わかっていたことで、当初から、「金融緩和」は現下のデフレを抑えるための対症療法、「財政出動」は需要喚起の呼び水、本丸は産業構造を変える「成長戦略」、としていました。

いくつか打ち出した「成長戦略」で最も上手くいったのは「観光立国」への転換でしょう。ビザ発給要件の緩和などで、訪日外国人を年間800万人程度から3,000万人超へと4倍近くに増やしました。(これもコロナで吹き飛んでしまいましたが・・・)

しかし、それ以外はいまひとつです。「デジタル社会化」への対応は他国に比べても明らかに遅れていますし、廃業率と開業率も目標の10%からかけ離れ、産業の新陳代謝も起きていません。日本経済の問題点である低生産性も大きな改善は見られていません。

『アベノミクス失速』としているどの記事や評論を読んでも、3つ目の矢である「成長戦略」の難しさに触れています。かように産業構造を変えて成長軌道に乗せるというのは難しいことなのだと感じざるを得ません。

 

■次期政権に期待するもの

さて、次の政権です。
次期政権は、「新型コロナ対策から東京オリンピックへの道すじをつける内閣」とでもなるでしょうか。
新型コロナへの対応の重要性から「政治の切れ目は作れない」ということで、スピードを重視して党大会ではなく両院議員総会で次期総裁を選ぶことになりそうです。そうなると次期総裁の任期は21年9月までの1年間です。

だから早くも「次の次」の話が出ているくらいですね。
もし、次期政権が短期政権を前提としたものになると、政策の話よりも政局の話がメインになってしまわないか、ということが心配なところです。

市場は政治的な停滞に失望します。市場が期待しているのは「これなら日本企業はより強くなっていくな」という期待が膨らむような成長戦略です。

安倍政権が7年8か月かかっても軌道に乗せることが出来なかった「成長戦略」は、長期的な視点が必要です。次期政権はコロナ対応で大変だとは思いますが、どうか短期的な対策だけでなく、長期にわたる大きな方向性も示してもらいたいものだと思います。

今回は以上です。
一日も早く平穏な日々が戻りますように。

2020年9月1日 火曜日 17:06 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
カテゴリ:

ページトップに戻る