住宅不動産業界 トップインタビュー〜住宅不動産業における優れた経営品質を追う〜

変革の時代を迎える住宅不動産産業界において、自社の持続的な成長を実現しながら地域社会に貢献する企業となるために、経営者はどのように考えどのような活動方針を持って経営に取り組むべきか。

住宅・不動産業界 ビジョナリー経営

住宅業界、不動産業界の未来像を創造したい! 大分県・大好産業

不動産業や住宅産業は今の家や街を作ってきたけれど、大好産業は未来を作っているんです

株式会社大好産業
代表取締役 工藤 英寿 様

株式会社大好産業様は、昭和47(1972)年に大分県で工藤工業として創業され、屋根板金瓦工事、外壁サイディング工事、ALC工事、建築資材販売など外壁事業を営まれてきました。平成元(1989)年に株式会社大好産業に商号変更、さらにその後平成9(1997)年に工藤英寿様が代表取締役社長に就任され、平成18(2006)年には全国窯業系サイディング施工実績で九州1位、平成20年には窯業系サイディング厚物部で全国3位を獲得されるなど着実に事業を成長させてきました。平成21(2009)年には不動産売買仲介事業開始、平成23(2011)年には不動産情報流通システム開発事業も開始され、現在は外装事業と不動産事業の二本柱で経営をされています。新領域への挑戦を続けながらも工藤社長の堅実な経営を背景に、工藤社長が引き継ぐ以前から通算して30年間で赤字は一度もないという企業実績を築かれています。30年間で赤字が一度もないという企業実績を継続はすごいことです。そのようなことを実現できた背景にはどのようなことがあるのか、伺ってみました。

亀の社章が象徴する、工藤社長の考え方と「大好産業」らしさ

はじめにお伝えしたいのは「社章」に込めた精神の話です。大好産業様の社章は「亀」のイメージを想起させます。ウサギとカメの物語では、ウサギの目標はカメに勝つことでした。でもカメの目標はゴールインすることでした。私はそして私たち大好産業は誰かに勝つことを目指すのではなく、私たちが決めたゴールを淡々と目指すような、そんな企業としての姿勢を大切にしたかったのです。だから亀なんです。派手なことに流されずという精神で急激に売り上げ拡大だけを目指さず、悲観的に行動計画を立て楽天的に行動するという精神を大切にしたかったのです。30年間赤字が一度もなくこれたのはまさにその結果です。

建設業あるいはそれに関連する企業が着工数を伸ばすことだけに執着してしまうと、成長を維持させようとすればするほど経済環境の変化に柔軟対応することが難しくなってきます。だからこそ、目先の利益だけではない、未来のためのクレイジーな投資をすることも必要なんです。もちろん、クレイジーと言っても僕は「亀精神」だから、手堅く行くところと挑戦するところはきっちり分けて、手堅く行くところでは身の丈にあった挑戦しかやっていません。最も新しい事業の不動産情報流通システム開発事業もコツコツ型でここまできています。

社員の挑戦を応援する企業でありたい

自分の挑戦はそんな感じですが、社員の挑戦は積極的に応援しようと考えています。端的にいえば、とにかくやらせる。社員が「やりたい」と言った時、たとえ「うまくいかないだろうな」と思ったことでもまずはやらせてみます。そして失敗しても「勉強できたね」と受け止め、他で頑張りますと社員が言える状態にして、もしも失敗してもクビにはしない。そういう考え方をしています。

自分が大事にしている「判断軸」は、「みんながハッピーか?ということを考える」ということです。そしてこういう価値観、判断軸を常に口に出すような雰囲気作りを心がけています。一つの例が、創業してしばらくして作った「理念」を今でもずっと全社員で大好産業の「心」として毎朝読み上げる「理念唱和」を励行しています。こういう積み重ねが「出るところは出る」、でも「堅実に行くところは堅実に」という企業風土を作っていると自分では思っています。

大好産業の思い。

  • ・住宅不動産の価値を創造し 豊かな日本の住環境を創造する
  • ・住まいに関わる人すべてがハッピーになれるような業界社会を創る
  • ・全ての人たちが人生を豊にする賢い選択ができる情報インフラを創る
  • 大好産業の「今の姿」を築いた転機とは?
    自分の不幸な体験で、自分は「ゴミや不幸を売る片棒を担いでいた」ことに気づいた…

    今でこそ自社の主要事業に不動産事業を持っていると人様に言えるようになりましたが、もともと自分は建築畑の人間で不動産とかローンとかには本当に疎かったんです。そんな不動産のことに疎い私が知り合いの不動産会社から紹介された土地に20歳の時に注文住宅を建てて30歳過ぎで売却したんです。25年返済で住宅ローンを組んで10年間、真面目に返しました。でも締めてみれば元金はほとんど減っていなかった上に、売却差損が1000万円も出たんです。よくある話とはいえ、少なくとも住宅を作る仕事に関わっているプロなのに、手に入れた住宅の価値が下がってしまうという、ある意味「不幸」を味わったのです。この経験をきっかけに「なぜ日本の住宅が下がるのか」という研究に入ったんです。そしてアメリカでは手に入れた住宅の価格が上がることがあるという事実を知った時、日本の住宅産業は人の幸せに何の貢献もしてないじゃないかと思い知らされました。

    その頃、サイディング部門とは別にコンサルティング部門を作って住宅会社の支援もしていたのですが、自分のことだけでなくアメリカの住宅市場研究を通じて、自分が売ってきた(売らせたてきた)住宅に価値がないと気づいただけでなく、自分はコンサルタントとして不幸を売る片棒を担いでしまった、そう思ったんです。それまでは住宅を作る、あるいは間接的にその支援をすることで「人の幸せに貢献」しているつもりだったのに、自分の仕事が提供してきたことが何にもなっていなかったことに思い知らされて愕然としました。

    「大転機」
    ものづくりだけでは不十分。「いいものは売れる」と「売れるものがいいもの」を融合させる

    自分の不幸をきっかけにアメリカの住宅価格のことを研究して、市場価値(価格)が上がるという結果はわかったが、それがなぜ起こっているのか、どうすればアメリカのようになるのかは、初めはわからなかったんです。私にアメリカ市場のことを指南してくれた師匠T氏は「美しいもの、いいものを作れば」売れるし値下がりしないといっていましたが、どうもすっきりしなかったんです。渡米して現地で見聞する中で、はっと気づかされたことは「いいものだから売れる市場」という一面だけではなく、「売れるものがいいもの」だという面からも見るべきだということなんです。だから市場で消費者が賢い選択をできるようにすれば、「いいものを作れば売れ、いいものだから売れてゆく市場」になるはずだ、という真実に突き当たったんです。

    これが、自ら率先して消費者に賢い選択を与える不動産流通業、不動産情報サービスを始める大きな転機でした。

    新たなチャレンジ。業種にこだわらない、新たな業態の創造

    今の仕事が未来の豊かさを作らない典型的な課題の一つとしてこういうことがあります。住宅展示場に来る顧客が求める情報や答えは、「自分は払えるのか」とか「どういう場所や家に住めるのか」ということを聞きたいのに、住宅会社の社員はそれに答えない、いや答えられないのです。不動産会社でも検討対象の土地があるかないかしか情報を聞き出さないです。ましてやその土地に地盤改良がいるとか擁壁が必要とか・・・何の助言も出来ないのが現実です。

    大好産業の新しいチャレンジは、「オリジモンド」というサービスです。オリジナル+ダイヤモンド、ダイヤモンドのような人生を豊かにする賢い輝きのある選択を大好産業が「今まだない」独自なサービスとして提供するという考えから作った造語です。建築と不動産のワンストップサービスとして、情報開示を徹底する不動産取引、納得する資金計画と将来の勝ちにつながる住まい作りを同時に提供する拠点です。

    オリジモンドの展開を通じて住宅会社も不動産会社も答えられないことにきちんと回答できる「場」を作り、お客様には疑問を解消した上で「(消費者が自分の暮らしを)選ぶ」という行為に専念できるようにしたいのです。そうすれば大げさですが、500年後、1000年後にも豊かな暮らしが続く可能性を一つ高めたいです。

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