日本の不動産流通システムに黒船到来

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~米国流の不動産売買の現状~

ハイアス・アンド・カンパニー(株) 代表取締役社長 濵村 聖一

このほど、11月3日から4日間に亘り米国のニューオリンズで開催された全米リアルター協会(NAR:National Association of Realtorsの略、以降NARと表記)の総会に参加しましたので、今回はその概要をレポートしたいと思います。

NARは米国で最大(8割以上のシェア)の不動産業者の団体で、約1,500の地方組織と110万人の会員を持つ世界最大の不動産組織であり、国内最大級の政治ロビーでもあります。
  NAR会員は、唯一REALTOR(=不動産業者)と称することができ、その名称は登録されている会員以外は使うことができないほど社会的に力を持っています。そのNARが正式に、11月18日付けで『公報サイト「Realtor.com」を国際化し、世界最大の一般住宅不動産サイトに拡大する』ことを発表しました。NARがいよいよドル安を背景に、本格的に国際世界の舞台に参入すると発表を行ったわけです。


(写真)左から2人目がNAR 次期会長、右隣が小生

日本と米国の物件検索システムの違い

今回のNAR総会に出席した主な目的は、米国で行われている不動産取引をリアルに理解し、具体的なオペレーションを体験することでありました。加えて、実際に不動産売買を行っているリアルターを取材し、顧客に対してどのようなトークやツールで営業業務を行っているか、具体的に日本のそれとどこが違うのか、また、総会と併設されている展示会に出展されている最新のツールはどのようなものか等の検証を行う為でありました。結果は歴然としたもので、明らかに日本があらゆる面で後れを取っていると言わざるをえない状況でした。

NARの会員はMLS(Multi Listing Service)という、日本でいうレインズシステム(REINS:Real Estate Information Network System)と同じ位置づけをされた物件検索システムを使い顧客にあらゆる提案を行います。現在、このMLSシステムに連携する形で、独自の便利な窓口機能を付加した一般顧客向けWebサイトが米国内でシェア競争をしており、NAR自体も上記Realtor.comというWebサイトを展開しています。

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