年間10棟クラスが30棟クラスへ成長するときの壁をどう乗り越えるか

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会社が成長していくときに住宅経営者がやっておくべきこととは?

R+houseで実践している住宅会社経営支援の事例より

急成長会社の落とし穴とは?

高性能デザイナーズ住宅のR+house(アールプラスハウス)に取り組んでいるハイアス会員のA社の事例です。A社は約2年前に社長が前職の建設会社から独立して設立。設立時の社員は社長と工務担当と事務の3人。住宅事業をほぼゼロから立ち上げました。

立ち上げはとても順調でした。卓越した営業センスを持つ社長の獅子奮迅の頑張りにより初年度から10棟の契約を獲得。しかし落とし穴は目の前まで来ていました。翌年には意欲的に20棟契約を目標にして、営業スタッフも増員をかけました。その矢先、昨年の秋頃に5棟の現場が一斉に動き始めると、施工現場が混乱し始めました。必要な部材が必要なタイミングで入らない。手違いの工事が発生し、お施主様から手直しのクレームが入る。そうしたことが重なり、全体の工程が遅れ始める。5棟もの現場を同時に回したことのない現場監督がまったく現場をコントロールできなくなったのです。結果的に契約時に25%で設定した粗利益は17 ~ 18%になっていました。

性能とデザインを軸に住宅商品力を自社の強みにしたいと考えていた社長は大変な危機感を感じました。このままでは「あそこの出来栄えはイマイチ」とか、「施工のレベルが悪い」などの評判が出かねません。現場が止まり、工期が遅れたことで支払いと回収の期間ズレが大きくなりキャッシュフローも厳しくなってきました。

危機感を持っての改善策

自社の存続すら危ぶまれる事態に社長は手を打ちます。遅ればせながらはじめて業者会を開き、現状を共有。現場改善の協力をそれぞれの業者さんに依頼しました。自社単価も厳密に見直しました。今のままではせっかく契約をいただいても利益が残せません。現場に強いスタッフを新たに増員、R+house本部の支援も受けながら実行予算の見直しを徹底しました。そして、粗利25%を取れる状態になるまで新規の営業はストップさせました。

社長も工事現場を奔走して、何とか正常な状態になるのにおよそ3 ヶ月の時間がかかりました。あらためてR+house本部の設計・施工様マニュアルや標準仕様書を確認。自社なりにアレンジをして、自社の工程管理体制と標準仕様書を策定しました。何が標準で何がオプションか、どこをどう変更したらどれくらい価格と工期が変わるのか、といったレベルのこと(それまでは社長の頭の中にしかなかったもの)が営業担当から現場担当まで、全員で共有できるようになりました。これでようやくR+houseが自社の商品になったことを実感したと社長は言います。

「あのまま突っ走っていたら会社は崩壊していた」と社長は振り返りました。

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