2016年以降の 住宅・不動産会社の選択肢

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2016年以降、中小工務店の淘汰は加速する

新築偏重からストック重視型の住宅市場への転換は政策と環境の変化により徐々に進行しております。2012年3月、国土交通省により「中古住宅・リフォームトータルプラン」が策定されました。同プランでは、新成長戦略(2010年6月18日閣議決定)に示された2020年までの中古住宅・リフォーム市場規模の倍増(2010年約10兆円規模⇒2020年20兆円超の規模)に向け、新築中心の住宅市場から、中古住宅流通・リフォームにより循環利用されるストック型の住宅市場への転換への具体的施策がまとめられました。

2011年の新設住宅着工戸数は復興需要や住宅エコポイントの駆込需要の影響もあって前年度比2.7%増の84.1万戸でした。2014・2015年度の消費税の段階的増税前の駆込需要によって2013年までは着工戸数は増加すると見られます。消費税が3%から5%に引き上げられた1996年時の増税前の需要増から推測すると、2013年は90万戸台まで回復すると見られています。増税後の1997年から1998年にかけては反動で、163万戸から134万戸の20%弱の需要減少が見られました。今回は5%の税率上昇となり世帯数の減少も勘案しますと、少なくとも着工戸数は60万戸台まで落ち込むと推測されます。「住宅の消費税が一律に引き上げられた場合、マイホームの取得や建て替えをあきらめる」という層は住宅取得検討者の4割にもあたります(日経BP 社調査)。

2006年度からの4年間で、住宅着工戸数が40万戸減少する中で、住宅会社数の約66,000社のうち約13,000社と全体の約20%が倒産・廃業しております(株式会社住宅産業研究所レポートより)。内訳は年間1棟~19棟の業者で99.5%を占めます。2012年度84万戸から2016年度には60万戸台へと減少すれば、この5 年間で7,800社と全体の約15%の住宅会社数が減少する予想ができ、過去の推移同様、今後15年間で住宅着工戸数が半減してしまえば約13,000社、全体の約25%、4社に1社の住宅会社が倒産・廃業を迫られることになります。

「経営とは環境適応の連続」としばしば言われます。縮小する新築住宅市場と拡大していくリフォーム・中古住宅市場。そして、エネルギー問題が市場性に拍車をかけスマートハウスなどの新しい動きも活発化してきております。スマートハウス市場には、従来からの住宅関連産業各社に加え、エネルギー会社、機器メーカー、家電量販店、ホームセンターといった異業種・異業態からの参入も相次ぎ、住宅市場での生き残り競争は更なる激化が予想されます。

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