あたなの会社が勝ち残れるかどうか?

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東日本大震災の復興と消費税増税を見越した需要の高まりにより、住宅業界はにわかに活況の様相を呈しています。2012年度の新設着工戸数は10%超増加して、90万戸を超えるという予測も出ています。ただ需要の高まりの後には必ず反動減があります。住宅会社は、今こそ向こう10年を見通して今後の勝ち残り戦略を考えて、速やかに実行に移していかなければなりません。

今後の業界スケジュールは?~税制改正とともに市場は動く~

まず消費税増税があります。消費税は2014年4月に8%へ、2015年10月には10%へ増税されることが決まっています。政府としては住宅ローン減税とエコポイントで駆け込み需要と反動減を押さえる方針です。住宅ローン減税は2013年度に今の期限が切れますが、その後も拡充した上で継続することを検討中の模様です。

拡充策の案は、2014年に控除率を2%に倍増、期間を15年に延長、最大控除額を1,000万円程度までとする、など。2015年度にはさらなる拡充を図るという案もあります。この規模であれば駆け込み需要と反動減の緩和に一定以上の効果はあるでしょう。むしろローン減税の拡充まで買い控えが起きる可能性さえあるレベルです。

それでも消費税が10%になる2015年までには需要は一巡することでしょう。その段階で先食いされた需要の反動が始まります。その先、新築市場は間違いなく縮小します。それを見越した準備が今から必要なのです。

購入環境の変化1 ~需要サイドの購買力の低下~

では2015年以降の市場はどうなるでしょうか。需要サイドではこの時すでに買える人は買い終わった状態です。買える人とは、おそらく団塊世代に代表される建て替え・住み替え層です。本格的にリタイア期に入っている団塊世代は教育負担期を終え、退職金を手にして、税負担が軽いうちに建て替え、住み替えを行うことでしょう。そのあとに新築市場に残っているのは、今買えない人、ならびに2015年までに買うニーズがなかった人です。おそらく一次取得者層が中心でしょう。問題点はその頃の一次取得者層は今よりもさらに購買能力が低くなっていることが予想されることです。

消費税増税だけでなく、厚生年金保険料の引き上げや所得控除の廃止、児童手当の縮小、さらに電気料金の値上げなどが重なり、家計の負担は今後毎年増えていきます。消費税についても2015年の10%増税で終了するとは限りません。財政健全化には10%の増税では足りず2020年までにさらに5%以上の増税が必要だとする試算もあります。

一方、平均年収はすでにこの10年で約60万円下落しています。消費税増税後、家計と企業の負担が増えて、景気がさらに冷え込むともっと年収は下がるでしょう。これらはすべて住宅購入意欲の減退と購入予算の減少を招きます。家はもう中古でいいという人や家を買わないという選択をする人が増加するでしょう。

さらに今後30代人口が持続的に減少していくことを考えると、人口動態の変化と購買力の減少が相まって一次取得者層は激減することが予想されます。

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