税制改正で追い風が吹いている新市場とは?

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大手ハウスメーカーが手を出さない「小規模土地活用市場」をつかめ

相続・年金テーマで大量集客事例が続々と!

今、相続問題をきっかけとした不動産マーケットが拡大しています。賃貸仲介・売買仲介を中心に展開している不動産仲介会社A社は、アパートや駐車場の管理受託に力を入れているものの、既存の管理業者が不動産オーナーをがっちり囲い込んでいるため新規の管理受託に苦労していました。最近になって賃貸仲介で付き合いのあるオーナーや地域の地主から相続に関する相談が増えてきたことから、「相続・不動産」をテーマとした地主向けセミナーを開催しました。すると、なんと40組(内新規30組)もの大量集客をすることができました。集客は2週間前に新聞折り込みチラシを1回入れた他は周辺の地主へ案内しただけです。通常、この会社では新聞折り込みチラシの反響率は0.01%程度であったのが、今回は10倍近い反響になりました。

A社社長は相続テーマに対する関心の高さに驚き、追加でセミナーを開催することにしました。

住宅の新築・リフォームをメインに活動している住宅会社B社も相続関連市場の拡大を実績につなげています。B社は土地活用事業の将来性に注目し、数年前から戸建賃貸事業を展開していました。昨年までは、地主に対して「土地活用しませんか?」というアプローチをしていましたがなかなか成果は上がりませんでした。そこで、土地活用という切り口に加えて、二世帯住宅や1戸を貸して1戸は自分で住むインカム住宅などの提案に切り替えたところ成果が出始めました。B社社長は、この背景には年金問題や老後の収入不安などがあると感じ、年金と相続に関するセミナーを開催して見込客を増やす作戦を取りました。ただそのために大量に販促チラシを配布するような予算がなかったため、住宅事業の中長期管理客、約50 組に対してセミナー案内を郵送し、電話フォローをしました。結果として15 組が集客でき、インカム住宅の契約を2 件獲得することに成功しました。また元々の住宅提案のランクアップにもつながり現状5組を追客中です。

地主が動き始めた3 つの理由

相続や年金をテーマにすることで集客が増える要因としては以下の3つのポイントが考えられます。まず「相続税増税の動き」です。平成23年度の税制改正大綱で相続税の課税強化の方針が打ち出されました。改正が実施されると相続税がかかる人は現状4.2%(平成22年度)から約6%台へと、現在の1.5倍ほど増加すると言われています。この相続税増税の方針が明らかになって以降、テレビや雑誌などで相続がテーマとして取り上げられることが急増しました。現時点では平成27年1月1日以降の相続から適用が開始されることが有力視されていますが、それまでのこの2年間はますます世間の相続への関心は高まっていくことでしょう。

次に「地主の代替わり」です。相続人の平均年齢は61歳というデータがあります。61歳ですと勤め先を退職している方も多いでしょう。また年金の支給があと数年で始まります。老後を見据えて財産形成について真剣に考えるタイミングにあります。団塊世代以降は兄弟も多く、例えば「親の自宅を誰が相続するか」といったような相続財産の「分割問題」も避けられません。今まで相続について無関心だった方でも自分が相続を受ける時期を迎えるタイミングに税制改正が重なったことで否応なく相続への関心が高まっています。

3点目は「消費税増税」です。相続税の課税強化に加え、消費税増税も不動産相続市場の拡大に拍車をかけました。消費増税の駆け込み需要に備えて住宅各社は遊休地の仕入れに動いています。そのため地主にとっては「土地を売却するなら今が絶好のタイミング」というムードが醸成されています。また遊休地活用でアパートや戸建賃貸などを建築するにしても増税前の方がコストアップにならないので有利です。売却、活用のいずれにせよ消費税増税前の今が遊休地をどうするかを検討するタイミングになっています。

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