中古住宅流通+リノベーションにより 新たな顧客層を手に入れる

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中古住宅流通+リノベーションにより新たな顧客層を手に入れる
  不動産中古流通市場の展望とリフォームビジネスを取り巻く最新動向



不動産中古流通市場の展望

総務省統計局による住宅・土地統計調査(平成20年)によると、我が国の住宅ストックは全国で約5,760万戸あり、総世帯数約5,000万世帯と比較すると15% 以上も住宅の戸数が上回っています。量的には充足されているように見えますが、このストック住宅のうち約1/4は、1981年に改正された新耐震基準が施行される前に建築されたものであり、建て替えや耐震リフォーム等が一巡するには、まだしばらく時間がかかりそうです。

一方、国土交通省は、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」において、中古・リフォーム市場整備の具体的施策を策定することを掲げ、「中古住宅・リフォームトータルプラン」を平成24年2月20日に発表し、目指すべき住宅市場のあるべき姿を“ 新築中心の市場から、リフォームにより住宅ストックの品質・性能を高め、中古流通により循環利用されるストック型の住宅市場に転換する” ことと定め、2020年(平成32年)までに市場規模を倍増する計画を打ち出しています。

これを具体化する施策の一つとして、中古不動産流通市場整備・活性化事業(全国12協議会)が立ち上がり、弊社も九州住宅流通促進協議会に参加しています。

これらの動きは、今後の住宅政策に関する投資や税制・補助金の流れが、(1)優良な新築住宅、(2)リフォーム、(3)流通市場整備の3つのキーワードに優先的に配賦されることが示唆されますので、この事業領域に対応できる体制を今から準備しておくことが、経営者としての責務といえるでしょう。

不動産流通の現状

ここで、不動産流通の現状を見てみましょう。消費者が住宅・不動産を購入する時の意思決定要因を調査しますと、概ね、次の3つの条件が重視されていることがわかります。立地(ロケーション、利便性、教育環境)、建物(耐久性、性能、間取り)、資金(資金計画、ランニング費用)です。

仮に、これら全てに満足のいく物件が見つかったのであれば、すぐにでも買うべき物件ということになるのですが、大抵の場合はそうはうまく行かず、立地・建物・価格のいずれかを妥協して、購入せざるを得ないのが現状でしょう。特に資金に関しては、長引く不景気とデフレの影響を受け、サラリーマンの平均年収は長期的な減少トレンドが続き、追い打ちをかけるように、原油価格の高騰や資源価格の高止まりにより住宅建設コストは高くなる一方であるため、不動産購入自体を断念する消費者も少なくありません。

もう一つの側面として、消費者のニーズが多様化する中で、そもそも築年数が古い物件や立地が悪い物件は、建物の品質やコンディションが明確でないことや、空き家や周辺環境の未成熟等により、たとえ価格が安かったとしても、そもそも消費者の選択の土俵にも乗らず、いわゆる売れ残り物件として、年々積み残されていっています。これが冒頭に示したストック住宅の余剰分にも表れているといえます。

これらは事例の一部ではありますが、中古住宅流通の市場規模を倍増させるという目標に対し、現場レベルで考えると、消費者ニーズと供給される住宅に少なからずギャップがあり、対処すべき課題が数多く見受けられます。

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