新建ハウジング-平成24年10月30日(火)

合理化工法で現場が変わる

新築市場が縮みコストダウン圧力が強まる一方、省エネをはじめとする住宅性能・品質への社会的要求はますます高い。コスト・性能・品質の両立という難問の解決に取り組み、実現しているのが司建設(群馬県沼田市、松井照夫社長)。これまで目の行き届かなかった基礎工事にメスを入れ、現場のムリ・ムダ・ムラを削減して生産性を格段に高めている。

「逃げ配管」はもう要らない


写真は群馬県吉岡町で進む新築の基礎工事現場。1階床面積約20坪で、配筋が完了したところへ職人2人が入り、朝から型枠を組みはじめて午前11時にこの状態だ。1日あればレベル調整、アンカーボルト・ホールダウン金物の据え付けまで終了する。

設備業者が基礎・配管を同時施工!

断熱素材の型枠(ESP厚50mm)をコンクリートと一体成型する基礎断熱システム「タイト・モールド」。型枠の取り外しが要らないベタ基礎専用の合理化工法で、組み立て作業のスピードを大幅アップ、職人の熟練に頼らず精度の均質化、品質の安定化を実現する。

工場製作された数種類の型枠を組み合わせるだけの簡単施工。内側型枠を浮かすことで耐圧盤と立ち上がりを1回で打設し、打ち継ぎ目のない高強度の基礎をつくる。

レベル出しは腰をかがめなくても、上からドライバーにより 単位で調整。アンカーボルトの据え付けも工夫し、上下2段のセパレーター(内・外の型枠を連結する金物)で受けて固定することで簡易に垂直を出せるようにしている。工期短縮効果は基礎工事だけで平均12日。コンクリート打設時に断熱、防蟻工事が完了するのはもちろん、同社の場合は設備配管工事まで終了するというから驚きだ。実は、この現場で型枠を組んでいるのは基礎工事業者でなく設備業者。「タイト・モールド」が職人の多能工化を可能にした。

なかでも大きなメリットは「逃げ配管」がなくなること。鋼製型枠を使った通常の基礎工事はコンクリート打設前、ない・外の型枠間に厚紙により仮の配管を設置し、あらかじめ貫通部を確保する。しかし「タイト。モールド」はESP型枠に穴をあけ、基礎と並行して本管を行えるので、この工程がそっくり不要だ。

施工の合理化、工種・工程の簡素化は職場環境を劇的に改善し、高齢化する職人の作業を助けて若手の入職を促す。生産性が高まることで専門業者も経営が楽に。もちろん、現場監督の負担も軽減する。メリットは計り知れない。

司建設の松井照夫社長は「工期短縮と経費削減は工務店の積年の課題。だが、どこかにしわ寄せがいくやり方は長続きしない。「タイト・モールド」は当社も、お客様も、どこにもしわ寄せがいかないシステム」と話す。

消費税増税でさらに市場が縮み、予算が縮小するといわれるなか、逆に住宅の性能・品質は省エネ基準の変更・義務化などにより高いレベルが要求され、今後の経営環境はますます厳しい。値引きまどの安易な手段で受注しても品質が悪化すれば生き残りは不可能だ。

「コストダウンしながら、むしろ品質は高める。それには従来のやり方を変革することが必要です。とくに基礎は、建物を支える重要な部分。そこにメスを入れる意義は極めて大きい」

今後は基礎・設備配管の同時施工に加え、電気配線もいっしょに行うことを考えている。


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