神奈川新聞-平成25年6月2日(月)

金利上昇に備え貯蓄を

変動型で借りた人の処方箋

「住宅ローンを変動金利型で組んだけれど、アベノミクスの影響で金利上昇が心配。今すぐ固定に切り替えるべきか」。昨年度には民間ローンの新規利用者の半数が、近年1%前後で推移している変動型(住宅金融支援機構調べ)を選択した。金利上昇リスクへの処方箋を、不動産コンサルティング会社ハイアス・アンド・カンパニー(東京)の川瀬太志さんに聞いた。

「『金利が上がりだしたら、固定に切り替えればいい』とよく耳にすると思いますが、実際には、将来必ず変動金利を上回っていくと確信できない限り、切り替えの意思決定ができる人はほとんどいません」と川瀬さんは語る。

理由は、固定金利は通常、変動金利より高く、また、変動金利が上がったときには既に固定金利は上がっていて、固定に切り替えると、毎月の返済額がアップしてしまうからだ。変動金利は日銀の政策金利の影響を受け、固定金利は10年物国債など長期金利の影響を受けて決まる。

「金利がいつ、どれだけ上がるかは誰にも分かりません。ただ、政府・日銀が物価上昇率2%達成まで金融緩和政策を続ける決意ですから、変動金利が今すぐ2%、3%に上がるとは考えにくい。固定への切り替えの時期の判断が難しいなら、金利が上昇したときのために備えることが大切です。

備えとは貯蓄。毎月返済額が7万円なら、8万〜9万円に上った想定で1万〜2万円を蓄える。金利が上がり始めたら、蓄えを繰り上げ返済に充てることもできる。

金利による毎月返済の違いは、借入額2500万円(35年間、元利均等返済)の場合、金利1%なら7万571円、2%では8万2815円、3%では9万6212円。金利上昇速度が遅いと、その間に減る元本が多く、影響は小さくなる。

「そもそも変動型は金利が低いうちに早く元本を減らしたい人向け。備えができないほど家計がカツカツなら、今すぐ支出を見直すべきです」と忠告する。

さらに「一番怖いのは金利が急上昇した場合に、毎月返済額だけを見て『大した影響ないな』と安心してしまうことです」と注意喚起する。

変動金利の見直しは半年ごとだが、一般に金融機関が毎月の返済額を見直すのは5年ごと。その間に金利が上昇すると、毎月返済額は変わらないが、そこに占める利息の割合が増え、元本がなかなか減らなくなる。

また、金利がどれだけ上昇していても、毎月返済額の増加は見直し前の1.25倍まで。急激な負担増を避ける措置だが、利息が返済額を超えると、超過分は「未払い利息」として新たな借金となってしまう。

川瀬さんは「住宅ローンそのものだけで家計が破綻することは少ない。子どもが私立に進学したなど、さまざまな理由で家計のバランスが変わるので、定期的に家計を見直しましょう」と勧める。

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