週刊住宅新聞-平成25年9月23日(月)

仲介営業の生産性向上

ハイアス・アンド・カンパニー(東京都港区・濵村聖一社長)による消費者の円滑な意思決定を促す「エージェント・マスター・サービス(AMS)が反響を呼んでいる。同社は国内の不動産流通を活性化する「双発型問題解決事業」などを展開しており、AMSはエリアごとの物件情報を本部で一括代行して提供する。住宅・不動産会社と消費者との情報格差を解消して早期成約に結びつける仕組み。多くの情報をもったエージェントのように顧客に寄り添うことで、建築会社にとって土地なし顧客の成約率向上が期待できるほか、仲介の現場でも生産性の大幅な改善や、大手箕対抗できる信頼の構築などができることが特徴だ。

AMSを利用すると、新着物件や価格変更のあった物件情報が仕分けわれた状態で利用会社に毎朝届く。これまで時間を要していた物件情報の収集取り込み、判別作業を省ける。そこから、資料をもとに間取りや地図を追加登録し、物件情報のデータベースを構築する。ここまでおよそ30分程度で作業が可能なため、営業活動に時間を割く事が出来る。

エリアの物件情報を項目別、俯瞰的に網羅しており、タブレット端末を同期させることで物件情報を視覚的に提供できる。土地や住宅価格等の物件情報に加え、地図や周辺の住環境も一覧表示できるため、データが重複しないなど、データベースとして管理・構築する仕組みを確立。適切な絞り込みが可能だ。

土地付き、あるいはマンションのみといった検索も可能。視覚的に表示することによって価格相場などを消費者に早期に把握してもらい、成約まで最短距離をたどることができるという。

高額な買い物でもあるため、じっくりと比較して適正な物件を納得して購入したいと考える消費者は多い。だが、購入予定の物件価格が適正であるか判断できない消費者は約半数におよぶとされる。

購入物件の選択、意思決定までに多くの時間が必要となり、場合によっては購入意思決定時にはすでに売却済みになることも少なくない。

仲介会社では、営業マンは売り物件の確保に時間を割かれがち。腰をすえて購入希望者の相談に応じる時間の確保が難しい。消費者のニーズをくみ上げた販売活動もできないため、企業が中長期的に業績を上げ安定的に成長するための人材育成面でも課題となっている。

不動産流通の先進国・アメリカでは、こうした状況を踏まえて地域別物件情報提供システム(MLS)が確立されている。システムに加入すれば物件情報を登録したり閲覧できる。透明性の高い情報が地域ごと開示されているため、効率的に購入希望者を案内でき、高い成約率を実現しているという。AMSは、このMLSの類似サービスをして開発したものだ。

エージェント制導入で急成長

福岡の最大好産業 物件量武器に信頼獲得

ハイアス・アンド・カンパニーが5日、東京都で開催した営業生産性改善のためのセミナーでは、AMSサービスをいち早く導入した大好産業(福岡市)の工藤英寿社長が講演した。AMS導入後に同社の営業実績は飛躍的に向上。集客は2倍に増え、利益も倍増するなど、導入の効果を話した。

工藤社長は「自宅の売却で苦労したことが、AMS利用のきっかけになった」と話す。自宅はデマをかけた注文住宅だったが、信頼する不動産会社に売却を依頼したものの2年たっても売れなかった。

工藤社長は、消費者にとって知りたい情報は得られず、住宅購入や売却は手間と時間ばかりがかかると実感した。

アメリカの不動産業界では、地域別物件情報提供システム(MLS)を使っており、これを日本に導入することで成約率の伸びが期待できると着目した。

同社では、アメリカを見習った営業手法を投入した。営業担当者をエージェントとして顧客と専属契約をし、早期に信頼関係を構築する。その上でAMSを利用して、地域で一番の物件量を元に顧客に具体的に提案する。比較情報が多く、消費者に納得してもらうことができ、購入までスムーズな営業が可能となった。顧客が他社に移らず、集客は増加し、成約も倍増した。

工藤社長は「大事なのは比較できる物件情報量とスピード。「どの」より「だれ」が重要で、AMS導入後これまで20人分の仕事を一人のエージェントがまかなえる。従来の煩雑な業務時間は削減でき、その分顧客への営業活動に有効利用できる」と話し、「困っている人を助ける意味においては、医者も弁護士も不動産業もかわらない。我われは不動産医師、不動産弁護士だと自負している。これから多くの方々へ、より一層サービスを提供していきたい」と力強く述べた。

外装などを手掛ける同社は、不動産事業参入わずか4年で年間計約数約400件、年間仲介手数料総額約2億5000万円まで成長した。営業一人当たりの仲介手数料年間生産性は約2400万円。

物件情報を自動配信 顧客に向き合う時間を確保

AMSは、意思決定までに長い時間を要したり、最終的に購入にいたらない消費者が多い現状を打破するために開発したサービス。

消費者は、物件購入のために多くの業者を回って情報を収集するが、多岐にわたる情報を正確に把握することは難しい。このため検討期間は長期化し、購入延期や断念にいたるケースも少なくない。

AMSによって整理された情報を提供することで、消費者は他業者を回る時間と手間を省ける。早期決着がはかられ、意思決定の迅速化と成約率向上につながる仕組みだ。必要エリアの物件情報を自動収集して配信する。物件の量や詳細情報をタブレッドを用いて地図上で一覧できるアプリケーション「ハウスポイント」を用意しており、エリア・学区毎の検索が可能だ。

AMSを導入し業務効率の改善に成功した全国事例を集めた営業マニュアル、操作マニュアルなどのツールの提供や、業態に合わせた研修も用意している。

中古市場20兆円へ

国土交通省は、昨年の新政府成長戦略閣議決定をうけ、住宅政策を国家プロジェクトとして始動。2050年までの、中古住宅流通・リフォーム市場ともに20兆円規模までに拡大させる考えだ。中古住宅流通は4兆円から8兆円へ、リフォーム市場は6兆円から12兆円へと倍増させる。

主な取り組みとしては、環境整備をはじめ、既存住宅高性能化や、住環境と街並みの改善促進、加えて市場の担い手の強化をあげている。

不動産流通近代センターによると、不動産業者法人数はこの15年で約15%増加している。対照的に、土地取引件数はこの15年で約30%減少。仲介手数料についても、購入者の約40%が割高に感じるとしている。

消費者に向けた情報の整備・提供や、価格の透明性向上、先進的なビジネスモデル育成といった提言もおこなわれており、住宅や土地購入に向けた対策が急務だった。

同社では、こうした問題群をビジネスチャンスととらえ、円滑な不動産取引のためのサービスを用意。地域の住宅会社や不動産会社向けに、成長と収益性をあわせもった「業態転換支援事業」や、消費者が安心して不動産を購入・運用・売却できる「住関連情報サービス事業」を展開。需要、供給双方に働きかけることで、不動産市場を活性化したいとしている。

豊富な物件情報で囲い込み AMS導入事例紹介

AMS採用の利点は、総合的かつ迅速出来居物件提案ができることにある。取引を進めるなかで、顧客も的確な情報を入手したうえで判断が可能で、顧客自身も賢明になれることも多くな特徴だ。AMSを活用した成果事例は全国から寄せられている。

設立7か月で78件成約 信頼関係構築ツールに

T社(愛知県)では、設立当初より導入している。仲介店舗激戦地区に開業、3ヵ月で営業3人の仲介手数料は計1000万円(1カ月あたり)を突破した。中古物件が最短2週間で成約するなど、営業期間の大幅短縮にもつながった。設立後7ヵ月で契約は78件にのぼる。

同社は、初回接客時に土地と業者の選定方法を説明する。AMSで地域内すべての物件情報を網羅しているため、他社で検討する必要がないことを顧客に理解してもらってから物件を案内する。これによって案内から調査、契約まで約2週間で決まるなど効果を上げている。

「AMSはお客さまと人間関係構築を容易にするツールにもなる」と喜ぶ。

成約まで平均2週間 「土地なし客」取り込む

住宅事業参入後1年あまりの0社(熊本県)は、これまで苦手だった土地なし顧客の契約率が70%に向上した。土地案内から決定までは平均で約2週間ほど。土地あり顧客よりも感触が確かになったなど、自社のポジションが明確になるといった効果も見られた。

同社は、初回接客時に個別勉強会を行う。資金計画や返済シミュレーションを提示し、次回面談時は計画にそった予算を共有する。建築スケジュールから、契約までの期間を逆算し、AMSで希望物件を抽出して案内する。初回の現場訪問で契約が確定したケースもあった。

エリア情報のボリューム具合を視覚で伝えることで、数多くの業者を訪ねても意味がないことを顧客に理解してもらう。クロージングでも自信がついたというか。

このほか、「売りたい土地が売りやすくなった」「他社物件でも当社に問い合わせがくるようになった」などといった成果につながった。

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