週刊住宅新聞-平成26年5月26日(月)

相続相談ネットワークを拡大

比較ツールで土地活提案

日本の総資産の約7割を占める不動産は、相続の際に争いの元になりやすい。一方で、活用次第では資産を増やすこともできる。来年1月の相続税改正を前に、不動産業者や金融機関などが次々と相続対策セミナーを開催。参加者獲得に厳しさが増す中、ハイアス・アンド・カンパニーは、独自開発した資産シミュレーションシステムを活用した不動産業者ネットワークを構築。会員企業が開く相続相談セミナーで、多くの参加者と反響を集め、全国にネットワークを広げている。

2次相続までプランニング

ハイアス・アンド・カンパニーは、不動産相続ネットワーク「ハイアークラブ」を8年前に設立した。不動産相談のインフォームドコンセント(事前説明と同意)を目的に、相談者がメリット・デメリットを比較検討できるシステム。全国の不動産業者約300社が会員となり、相続セミナーを開催している。

「ハイアークラブ」会員の大きな魅力のひとつが、独自開発したコンサルティングツール「マイハイアー」だ。

その地域の地価などの不動産情報を入力し、シミュレーションの前提となる資産額や相続人数など数個の空欄に数字を入力するだけで、約30分後には不動産オーナー向けの提案書や、関連する法律や税制の資料を自動作成する。

「売却と活用のどちらが良いか」「活用するなら駐車場やアパートなどどれが良いか」といった悩みに対して、数値やグラフでわかりやすく比較できる選択肢を提示。2次相続までも考慮した提案が可能なため、長期的にプランを立てる目安にできると好評だ。

通常、こうした提案には、経験豊富な担当者が現状確認、活用手段候補の絞り込み、収支計算などを行い、多大な時間とコストを必要とする。

新入社員でも専門的対応

同システムは、必要な情報を準備するだけで、複雑な税金などの計算も瞬時に行うため、これまで税理士や司法書士、金融機関などに相談するしかなかった相続対策を、不動産会社が一手に受け付けられるようにした。

業務面では、これまで積み上げたノウハウを生かし、システムの活用法から顧客への接し方、言葉づかいまで学べる研修を実施。新人社員でも専門的で的確な対応ができるようにした。スマホやタブレットPCなどモバイル端末にも対応しているため、提案の場所も選ばない。専門知識を持たない顧客に対して、客観的な比較資料を提案する事で、同様の悩みを持つ顧客紹介にもつながり、セミナー参加者の増加や会員企業の集客力アップを実現している。

同システムは、不動産業者にとって、ビジネスチャンスを取り込む強力なツールとして注目を浴び、全国に広がっている。

セミナーの反響率6割超 -個別相談には行列-

ハイアークラブ会員が主催する相続セミナーは、全国で各地で毎週土日の月8回ペースで開催され、人気となっている。セミナーでは、「マイハイアー」を活用して、それぞれの地域でのモデル的な資産額、地価などをその場で入力。土地をマンションやアパート、コインパーキングなどに活用した場合や何もしない場合などを、具体的な数字やグラフで示し、数年後に資産評価額がどう変化するか、分かりやすく解説する。

FPや行政書士など多くの資格を待ち、マイハイアー開発にも携わる不動産コンサルタントの山本嘉人氏が全セミナーの講師を担当。山本氏は「最初に固定資産税は”地代”であるとの認識が重要。相続税や土地活用の知識があるだけで、手にできる金額は大きく変わる。土地が収益を生むポテンシャルや、相続の際に資産評価額を減らす方法を総合的に提案する」と話す。

5つ以内の数字の入力で、税金から、年金、保険なども含めた複雑な計算を瞬時に行いグラフ化することに、多くの参加者が驚きを表す。高齢な両親が高齢者向け施設に入る際の費用捻出なども考慮するなど、さまざまな資産の流れを比較できるため、セミナー後の個別相談では複数の窓口を設けても行列ができる。

アンケートの回収率も6割超と高く、7割を超える事も多い。ある会員企業は、「アンケート回答用紙にメールアドレスや電話番号だけでなく住所の部屋番号など詳細を記入し、連絡希望時間が書かれていることもある。これほどの反響は普通のセミナーではありえない」と話す。

各会員企業の社員がセミナー講師を努められるよう、研修用ツールやシステムを開発中。今夏には、主催企業社員によるセミナーを開催し、さらなる認知度の向上を図る。

戸建賃貸で遺産分割 -20年無結露保証の「ウィルスタイル」-

相続不動産を面積比で見ると、60坪以下が56%を占める。それら狭小地は活用法が少なく、駐車場や小型住宅など選択肢が限られることが多い。

同社は、狭小地でも高い利回りを実現し、さまざまなライフスタイルや相続問題に対応する商品として、27坪以上の土地にキューブ型の低層賃貸住宅2戸以上を建設するデザイナーズ賃貸シリーズ「ウィルスタイル」を、山口県安成工務店と共同開発。戸建賃貸住宅の先駆けとなった「ユニキューブ」やメゾネットの「エコパティオ」をコア商品として4種類の商品を展開している。

現在は、全国施工会社約260社が「ウィルスタイル」ネットワーク会員となっている。低コストで2棟以上建設することで、自宅+貸家、貸家2棟、親世帯+子世帯などライフスタイルの変化にあわせて活用できることが最大の特徴だ。

相続人数分を建築して相続の際に1棟ずつ分割したり、代償分割の準備として前もって賃料収入を貯蓄するなど、”争い”を防ぐ相続対策としても注目を集めている。

賃料を周辺相場の3割増しにしても、満室経営を実現。戸建での生活を望む人が多いにもかかわらず、戸建賃貸の供給が少ない事から需要ギャップが大きく、立地や駅遠などの条件に影響されない、強気の経営を可能にする。

賃貸住宅ながら性能にこだわる

壁体内の無結露を20年保証するなど品質にもこだわりを見せる。全商品の壁と屋根に、断熱性・調湿性が高く一般の断熱材に比べて高価なセルロースファイバー(古紙を砕いた素材を使用)を採用。アトピーの原因となるカビの発生も防ぎ、躯体も長持ちする。

商品プランを1つに限定することで、低コストも同時に実現する。狭小地、変形地でも対応した設計で施工を簡略化。プランが一つのため会員会社は要領を早く習得でき、施工効率を上げて人権費を削減した。

部材調達面でも、会員がウェブ上で部材メーカーと直接取引するシステムを導入。発注時期や部材の種類なども前もって決めた条件で発注することで中間マージンを抑えた。「戸建て」という価値で集客が見込めるため、押入れの棚板など装飾的な部分は極力削った。

一方で、住居としての快適性と収益物件としての付加価値を高めるために、後には変更できない断熱材や地盤改良など、目に見えない基礎部分に建築費用を集中させた。

ウィルスタイル会員の施工会社は「ハイアークラブ」の準会員となるため、マイハイアーの使用もできる。不動産業者と施工会社の2つの会員ネットワークがつながることで、両者が同じ地域の顧客を紹介しあったり、遠隔地に土地を持つ顧客に、その土地がある地域の会員企業を紹介するなど、多角的、複合的な広がりを見せている。

会員企業1000社目指す

業界の基幹システムに

大手経営コンサルティング会社を経て、ハイアス・アンド・カンパニー設立に参加。現在は経営支援本部本部長として、ネットワーク事業などを手掛ける柿内和徳常務に、今後の展開を聞いた。(聞き手・森正隆太郎)

-相続を取り巻く環境について

「今後の人口動向を見ると、相続する資産は、団塊世代より10歳若い世代の方が現在よりも大きくなる。これから段階世代の人が亡くなるまでの15年くらいは相続件数も増え続ける。そんな中、多くの人が相続相談をどこにすればいいのかわからず、税理士や行政書士などのところに行くものの、不動産のことがわからない士業の人は『無理して土地活用しない方がいい』と答えることが多い。一方、建築系の大手企業などは、高スペックな住宅や建物を提案する。しかし、それらがオーナーの資産運用として最適でない場合がある」

中立的提案で信頼獲得

-相続セミナーで中立的アドバイスをしています

「ハイアークラブ会員はこの1年で倍増し、現在は全国約300社が加入している。セミナーで紹介している当社の”マイハイアー”システムの目的は、中立なセカンドオピニオンとなること。さまざまなプランを比較し考慮することを勧めている。その材料として、資産内容や家族関係などそれぞれの相続環境にあわせた個別リポートを提供している。この理念が受け入れられ会員増や、セミナー参加者数や反響の多さにつながっている」

-中立アドバイスでは、利益にならない面もあるのでは

「当社は『住宅取得が個人の資産形成に直結する社会の実現』が企業理念であり、中立的アドバイズは不動産業者のエチケットだと考える。日本は、賃貸の仲介手数料をオーナーと入居者の双方から取る両手取引など利益相反が普通となっているが、これらの仕組みなども公平なものに変えていきたい。目先の売り上げのために『売らせよう』『建てさせよう』という姿勢は、長期的にはマイナスになる。不動産業者によるハイアークラブと工務店によるウィルスタイルの会員企業が、エンドユーザーに信頼される強固なネットワークを作ることが重要。信頼感が高まれば、売り上げにつながる。」

-戸建賃貸のパイオニアとなり、狭小地活用も提案しています

「全国で相続される土地の多くが狭小地であるにもかかわらず、これまでそれらを活用する商品はほとんどなかった。1棟ものでは、複数の相続人がいる場合に資産分割で問題が起きやすい。ウィルスタイルなら2棟建てて2人で現物資産を分けられるので、”争続”を予防できる利点もある。最近では、20〜30代の人が私的年金をつくる目的で購入する例も増えている」

-今後の目標について

「ハイアークラブを、日本最大の相続相談を受けるネットワークに育てたい。今年度は180社増を見込んでおり、3〜4年で会員1000社を目指す。

将来的には、ハイアークラブシステムが業界の標準となり、ハイアークラブを使えないと不動産業で遅れをとるような基幹システムに育てていく」

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