毎日新聞-平成27年3月7日(土)

中古物件を自分好みに 新築より安価で人気「リノベーション住宅」

中古住宅を大規模改修し価値を高める「リノベーション住宅」が広がっている。同じ条件の新築より安価で、自分好みにデザインもできる。一方で、建物の耐用年数や配管の劣化など、中古ならではの注意点もある。

東京都足立区の男性会社員(35)は約1年半前、長男が生まれるのを機に、同区でリノベーション済みの中古マンションを購入した。築19年だったが、内装や設備は新築同様。リノベーションを手がけた「インテリックス」(東京都渋谷区)によると、一部が畳だった床は全面フローリングに張り替え、壁面のクロスや水回り、備え付け収納などの設備はすべて新調した。給排水管やガス管も問題がないかどうか検査した。販売価格は、2LDK(約56平方メートル)で1600万円と、同じエリアの新築マンション相場の6割程度だ。男性は「当初は賃貸に住み続けるつもりだったが、この価格で新築と同じような物件を購入できるなら、と考えが変わった」と話す。

単なるリフォームではなく、古い住宅を現代の生活スタイルに合わせた間取りやデザインに変更し、価値を高めるのがリノベーションだ。ここ数年で急速に認知度が高まり、リノベーション費用を対象にした住宅ローン制度も拡充しつつある。不動産コンサルタント会社「ハイアス・アンド・カンパニー」の取締役、川瀬太志さんは、「給与所得の下落や新築マンション相場の上昇で、中古物件を選ぶ人が増えてきた」と背景を分析する。

リノベーション物件は、物件自体の購入価格を抑えられるため、改修費を上乗せしても新築より安価になる場合がほとんどだ。購入したい場合、主に(1)改修済みの物件を購入する(2)中古物件を買ってオーダーメードでリノベーションする――の方法があり、それぞれに特徴がある=表参照。

選ぶ時は、予算や手間、住まいへのこだわりの中で、何を最優先させたいのかを考えることが大切だ。インテリックスの調査では、(1)の購入者は、新築と比べて50代以上の割合が高く、子育てを終えたシニア世代の需要が多い。一方、(2)は30~40代が中心で、おしゃれな内装や住みやすさにこだわる人が多い。物件価格を除く内装費の総額は、平均約700万円という。

リノベーションの質を確保するためには、業者による情報開示やアフターサービスが不可欠だ。リノベーションや不動産の業者らでつくる一般社団法人「リノベーション住宅推進協議会」は、給排水管やガス配管などの検査や、最低2年のアフターサービスを保証する基準を設定。会員の業者は、基準に合ったリノベーション済み物件を「適合リノベーション住宅」として提供している。

オーダーメードでリノベーションする場合は、希望する改修ができるかどうかを物件購入前に確認することが大切。「インテリックス住宅販売」のリノベーションディレクター、湯本泰史さんは「管理規則や構造によっては、壁を撤去できなかったり水回りの位置を変更できなかったりする場合もある。物件を下見する際に設計の専門家やリノベーションを請け負う業者が立ち会ったほうがいい」とアドバイスする。

また、中古マンションを購入する場合に気になるのが、耐震性と建物の耐用年数だ。一般社団法人「マンション大規模修繕協議会」の米沢賢治代表理事は「地震によるリスクを軽減するには、新耐震基準に対応する1981年6月以降の建物もしくはきちんと耐震補強がされている建物を選ぶこと」と話す。その上で、売買契約を結ぶ前に、管理組合が作成した「長期修繕計画」で、マンション全体の修繕が計画通りに実施されているか▽次の大規模修繕はいつか▽修繕積立金は不足していないか―などの確認を勧める。リノベーションでは、建物共有部分の給排水管などの修繕・取り換えは行えないためだ。米沢さんは「鉄筋コンクリートの法定耐用年数は47年だが、実際は築50年や100年近い建物もある。建物の寿命を延ばすことができるかどうかは、どれほど丁寧に修繕・管理されているかによる」と話した。【塩田彩】

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