戸建賃貸の成功・失敗と、今後の戸建賃貸戦略/創刊号 2009/7

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最近、業界でも高い注目を浴びているのが、戸建賃貸分野です。参入の機会を伺っている会社は、大きく戸建住宅会社と賃貸住宅会社の2つの業態が中心となっています。
賃貸住宅会社にとっては、景気後退・金融不安・先行き不安などにより、従来のような大型のマンション・アパートなどの集合住宅の受注が難しくなったという背景がある中、その落ち込み分を埋め合わせるため、より小口の不動産活用分野に参入しようという経営戦略になります。また、戸建住宅会社にとっては、人口減少の時代背景を考えると、この先の住宅着工棟数の減少は明らかであり、先読みのできる経営者の方は、たいへん大きな危機感を感じていらっしゃいます。
半分の業者数でも成り立つような市場規模になるまでにそれほど時間はかかりません。競合は激しくなっていますが、今後この業界の流れは、さらに激しくなることはあっても、緩くなることはありません。当然ながら、このような縮小市場に身を置く経営者の方は、従来の戸建住宅事業で消耗戦を繰り返すのか、その他の成長市場を見つけ、それを自社のもう1つの柱として立ち上げるかの選択を迫られることになります。

弊社も、4年前から「ユニキューブ」というブランドを立ち上げ、1500棟の実績を積み上げながら、戸建賃貸市場の拡大に努めてきました。直観的に経営者の方が戸建賃貸分野に惹かれるのは尤もな話で、今後数年に渡ってこの市場が拡大するという明確な理由がいくつかあります。
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まずは、戸建賃貸住宅の需要と供給の問題です。国交省の調査によると、「好ましい住まいの形態」として、国民の70%~80%が戸建住宅に住みたいと答えています。それに対して、不動産物件情報などを調べてみても、戸建の賃貸住宅はわずか数%しか発見することができません。したがって、持ち家を建てていない世帯の大半が「本当は戸建に住みたい」と思っているにも関わらず、物件が少ないから仕方なく、他人と同じ屋根の下で壁や床・天井を共有せざるを得ない集合住宅に入っているということになります。建築されたユニキューブの大半は、完成と同時に入居が決まっていますが、この需給ギャップを踏まえれば、実は当たり前のことなのです。家賃を2~3割高く設定しても同様の結果が得られます。この戸建賃貸の入居率や収益の高さを理解した土地所有者は、投資額も小さく、リスクが少ないと判断し、戸建賃貸を建築するという意思決定をするわけです。つまり、入居者の支持という大きな強みを持って、戸建賃貸は普及していくと考えられます。
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また、ターゲットの広さも、戸建賃貸事業の成長を裏付ける重要な要素です。従来の賃貸事業でマンションやアパートの建築をしようと思うと、ある程度大きな土地が必要で、かつ、建築費も高くなるため、地主の方もそれなりの資金力・資産力が必要になります。それに対し、戸建賃貸は40棟~60坪の土地があれば建築することができますし、投資額も小さくなりますので、一般のサラリーマン世帯でも建築することができます。周りを見渡して頂くと、例えば地方都市の中心部から車を数分走らせると、戸建賃貸が建ちそうな空き地が、利用方法が見つからないまま、何件、何十件と放置されていることに気付くことでしょう。

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