戸建賃貸の成功・失敗と、今後の戸建賃貸戦略/創刊号 2009/7

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そこへ持ってきて、「小さな投資金額で気軽にできます」「利回りが10%を超えています」「入居率が高いので安全です」「うちの会社は安心です」といったお決まりの営業トークと事業収支を持ち込んで、いかに儲かるかを説明するような営業展開をしていては、なかなか話しを聞いていただける状況にまで持ち込むことすら難しいと言えるでしょう。
そうなると、とにかく数の勝負ですから、成果を出そうと思うと、専任の営業マンを大量に用意し、マネージャーは日々、ひたすら士気を高めるために時間を投入し、飛び込み訪問数を減らさないように努力をしなければなりません。仮に成果が出たとしても、生産性は低く、事業採算としても厳しい結果にならざるを得ません。疲れ切った営業マンの離職の問題なども想定されますし、営業組織の疲弊に常に気を配らなければなりません。このパターンで成果が出せる会社は極めて珍しいケースということになります。最後にもう1つ、「商品売り」になってしまっているケースも、良くある失敗事例で、意外にこのケースが多いのかもしれません。戸建賃貸を建築される方は、戸建賃貸商品が欲しくて購入するわけではありません。ボリュームゾーンであるサラリーマン層や自営業者層を取り込むには、そのニーズや将来のことについて考えていることを把握し、全く別のアプローチが必要になります。そのアプローチ方法は、従来の地主営業のやり方と比較しても全く別の方法になるのです。

では、成功の秘訣は何なのかということになりますが、一言で簡単に言うと、「戸建賃貸事業ならではのターゲット層それぞれに対し、その層にあった営業手法を、自社の特徴を踏まえて選択し、長期的な営業構造の構築に重きを置いた事業展開をすること」という言い方に集約されることになります。
弊社でも本年5月に作成しましたが、ターゲット別のアプローチブックは必須の営業アイテムになります。競合先がある場合のアプローチ、サラリーマンの将来不安(年金不安)を前提とした顕在化アプローチ、それから、そもそも戸建賃貸商品販売員としてではなく、資産相談に乗ってくれるアドバイザーとしての入り込み方などは極めて重要で、そういった手法や武器をマスターすることが、事業展開には不可欠だと思われます。最終的にはそこに自社の事情を加味し、様々な営業手法の中から、長期的な営業構造を前提とした自社なりの選択をする必要があります。

また、上記の話とは別に、商品にどのような敷地対応力を持たせるかということが、取りこぼしなく受注を取っていくためには重要だということも、わかってきました。戸建賃貸営業の醍醐味は、1~2ヵ月という短い期間で契約に持ち込めるということですが、商品のラインナップを間違えると、都度プラン変更に時間が掛かったり、コストアップを引き起こしたりという結果になってしまいます。弊社では、これまで、ユニキューブ、エコパティオ、楽楽館という3つの商品に対して、それぞれ別々のネットワークを構築して、事業展開をして参りました。
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その取り組みにおいて、プラン特性の違う各商品が、どのような敷地に対して適応力を発揮し、逆にどのような敷地に対応できないケースが多いのかがわかってきました。その結果、これらの商品を1つの新シリーズブランドのもとに統合をし、各ネットワーク内の各企業が自在に全ての商品を取り扱えるようにすることと、その上さらに必要性が高いと考えられる新商品を開発することにより、敷地対応力を高めることに致しました。また、直近の1~2年の参入各社の状況を、先行した立場で見ていく中で、どの会社のどの商品が売れ筋になりつつあるかも観察をしてきました。今後は、このような他社の販売状況も踏まえた商品戦略を展開していきます。
「強者は弱者が差別化してきたら、直ちに追随すれば良い。そうすれば弱者の差別化要素はなくなる」という考え方が、ランチェスター戦略の「強者の戦略」にあります。弊社は、「ユニキューブ」という商品で戸建賃貸市場を立ち上げて以来、1500棟という実績でNo.1ブランドを保持してきましたが、その間検証してきた膨大な営業ノウハウに、上記の商品・ネットワーク統合、競合先を意識した商品戦略を組み込み、No.1ブランドをさらに極めていきたいと考えています。既存の会員の皆様には、その詳細を8月4日の全国大会の場面で発表させていただきますので、ご期待ください。

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