縮小するマーケットでの経営戦略とは?

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(3) 新たな発見

『ウィル スタイル』を建てることになったMさんは、ある程度自信はあったものの、相場より3割も高い値段で本当に入居者が入るのか不安になっておられました。しかし数日後、その不安はあっけなく解消することになります。完成前に14組も入居希望者が出てきたのです。しかも、その半数は大手企業に勤めている30代、40代のファミリー層でした。背景に、大手に勤める転勤族は家賃補助が4割ほど出るので、多少高い家賃設定をしても最終的に相場よりも5~6千円高い程度の家賃負担で抑えられるので、法人契約と相性が良いということがわかりました。またそれ以外の入居希望者には、家賃補助のないサラリーマンや医療関係者もおられました。

最終的にMさんの物件は、家賃補助のある法人契約で完成前に2棟とも満室になりました。
「入居希望者は、もともと大手の集合住宅を検討していた方が非常に多かったんです。ただ、やはり集合住宅だと、やんちゃざかりの子供が騒いだり、走り回ったり、できないですからね。入居された後も、音が漏れないし断熱性が高いので、長く住みたがる傾向があるようです。ずっと住んで頂いているので、有難い気持ちでいっぱいです。」

確信を深めたMさんは、その後さらに2棟、次に2棟、合計6棟を建てることになります。そして、いずれも完成前に入居者が決まっていきます。それは、季節を問わず空室待ちの人がいる、理想的な状態があったからでした。転勤が決まった入居者が同僚を紹介してくれることもあれば、人事異動の時期に企業の法人契約担当者から空き状況の問合せを受けたりするようになりました。

入居者は転勤でその土地を離れる場合を除いて、長く住みたいと希望する方ばかりで、そういった声を聞くたびにMさんはオーナー冥利に尽きる思いに駆られるのでした。実際に入居者に話を聞いてみると、高い性能の家に一度住むと、その生活に慣れてしまい、ずっとその家に住みたくなるようでした。

そんな中、Mさんは、どうしても気になることがありました。それは、『ウィル スタイル』の入居者が次の転勤先で同じように高性能な戸建賃貸を探しても、なかなか物件を見つけられず、諦めて集合住宅に入らざるを得ないといった現状に対してでした。

<賃貸の市場動向>

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