P.F.ドラッカーの言う「すでに起こった未来」を観る

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ハイアス・アンド・カンパニー(株) 代表取締役社長 濵村 聖一

TPP[環太平洋経済連携協定]時代の国内基幹産業へ

TPP時代の国内基幹産業の最右翼は住宅不動産関連産業と言えます。その規模はGDPの1割を有し、未だ生産性改善余地は大きくあります。また、不動産は輸出入できないので海外からの価格攻勢を受けにくく、しかも経済価値の蓄積ができます。従って、今後ますます「住宅不動産」に関わる産業は、発展余地を得られることになるでしょう。他方「ストック型産業への転換」と「生産性向上」という社会的要請を求められることになります。

ここで、あえて「住宅不動産」という表現を採るのは、そもそも土地と上物は一体登記であるべきで、その土地の活用形態として居住専用の建物を建築したものが住宅不動産、俗に言う「住宅」ということで、あくまでもそれは「不動産」の一種であるとの認識からです。

欧米のように、日本の住宅不動産は「不動産価値を維持できるもの」へ転換しなければなりません。現在まで建築された住宅の多くは、新築時にかかった金額と同等の価値を維持できるものは殆ど無いのが実情ですが、今後、秩序立てて町並みを形成し価値を維持保全をしていくタイプの新築市場は大きく伸びていく可能性を秘めています。人口の波も影響するでしょうが、今後、価値ある町づくりを目指し行政や町の自治会と一体となった取り組みがうまく回り出せば年間80万戸水準の新設着工を維持できるものと期待します。現在は、戦後の「まずは全国民に住宅を」時代の終焉と、「ストック型住宅不動産の創造」時代の幕開けと言えます。価値ある住宅ストックを形成するには最低20〜30年は掛かる訳なので、この流れは当面続くものと予想されます。

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