「住宅地経営」による価値の下がらない住宅作り

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日本版HOA(Home Owners Association)の取り組み

はじめに

住宅資金は、人生の三大出費にも挙げられるように、我々日本国民にとっては非常に高額な買い物です。しかしながら日本の住宅を資産価値という観点で評価してみますと、一般的なケースでは住宅を購入した瞬間に、

で表される逆ザヤの状態となり、その住宅資産価値も年を経るごとに建物の老朽化等により減少し、長期的には、

の状態に収束していきます。建物の価値が実質ゼロとなってしまいますので、土地の価値がそれを上回る上昇をしない限りは、住宅資産価値が上昇することはありません。

ここで欧米に目を向けてみますと、HyAS View Vol.8 P2-P4に記事を紹介させていただきましたが、住宅の資産価値が購入した時以上に維持・向上されている事例を数多く見ることができます。これは住宅バブル等に誘導された結果などではなく、歴史に裏付けされた住宅地経営管理の技術により、必然として成り立っているのです。

英国の事例(リースホールド+住宅地経営)

住宅地経営管理で200年以上の歴史を持つ英国。ポートサンライトやレッチワースなどの都市では、100年以上経っても資産価値が維持向上している都市が多く存在します。写真はロンドン西北部にある「ハムステッドガーデンサバーブ」で、建設後100年経過した住宅地です。建設以来、長期にわたり住宅資産価値が上昇し、現在はロンドンの金融中枢で働く人たちの憧れの地になっています。

この住宅地が資産価値を維持している要因は、リースホールドという土地経営手法と「三種の神器」(ハード
とソフトのルールと自治管理団体)による住宅地経営にあります。

リースホールドとは

「リースホールド」とは、英国式の住宅地経営により住宅地が経年して熟成し資産形成できる定期借地権制
度のことで、定借の発祥地である英国で200年以上前から実施されています(借地期間は現在99年)。

日本の「定期借地権制度」との大きな違いは、日本では一般的に定借期間を50年間と定め、50年後は建
築物を取り壊し更地にして地主に返すという「土地の暫定仮設利用」が目的となっていますが、英国の「リース
ホールド」では、99年の借地期限満了後の100年目には、これらの住宅は土地所有者の財産になります。言
い換えますと「定借期間満了時に健全に維持管理された熟成した住宅地全体が地主の所有財産となる」ということです。

定借期間満了後に建物を壊す前提で建築する日本に対して、英国では地主の資産として残す前提で建築して
おり、この考え方の違いが住宅資産価値を維持・向上させるうえでは最も大きな違いといえるでしょう。

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