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住宅地経営の第一人者であるエベネツァ・ハワード(英国)はその著書「ガーデンシティ」のなかで、住宅地を
熟成させるためには、住宅地の適正な環境管理を実現することが重要であることを明確にしました。住宅の資産
価値は住宅市場における住宅の取引価格で決定されますので、人々が住みたいと考えて集まってくるような住宅地を常に熟成し続けるような仕組みを考えることが必要です。これを具現化したものが後述する三種の神器です。
一方で、その仕組みを実現するためには、住宅地全体を一人の法人土地所有者が土地を保有し経営することが必要であると語っています。つまり、住宅地経営においては、住宅地の適正な環境管理を責任と権限のある主体者が行わなければならないということです。
1つ目は、住宅地開発のコンセプトとして、「人間の絆」と「エコロジカルな居住環境」と「居住者の豊かな生活」の3つの内容を実現した「ニューアーバニズム」の考え方に沿った住宅地計画として造られることです。ハードな住環境を定めているのが、基本設計(マスタープラン)で、それを住宅購入者が実現するルールが、建築設計指針(アーキテクチュラルガイドライン)です。開発業者は、開発にあたりそれらを作成し、その計画通りに住宅を建築設計指針に従って建築します。
2つ目は、居住者達が遵守すべき住宅地経営管理のソフトなルールとして『CC&Rs(カベナント・コンディションズ&リストレクションズ)』(住宅地経営管理基本契約)を作成します。このルールの中には、ルールを守らなかった人に対する罰則(罰金)と、最終的にルールを守らない人を住宅地から追放するルールが決められることになります。コミュニティのソフトなルールは、基本的に日本国憲法及び民法の「契約自由の原則」に基づいて事業主、住宅所有者及び住宅地経営管理協会の3社により締結されることになります。住宅を購入する際、CC&Rsはその購入条件となり、CC&Rsを締結しなければ、居住自体を認めないことになります。
3つ目が、このルールを守るための組織で、住宅購入者全員が強制的に参加する自治団体「HOA(ホーム・オーナーズ・アソシエイション)」(住宅地経営管理協会)です。この協会は、わが国の地方自治法で定めている団体のように居住者が政治的な平等を実現する団体とは違い、住宅という資産価値を守ることに団体の目的があります。ハードなルール(マスタープランとアーキテクチュラルガイドライン)とソフトなルール(CC&Rs)を住宅地経営管理協会の行政権で実施することで、住宅地経営を行うことになります。