なぜ、あの会社は不動産オーナーから受託ができるのか?

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不動産管理・売買仲介業者の役割の本質とは?

何が自社の明日の売上を保証してくれるのか?

不動産管理業や売買仲介業の経営者がどのように自社の売り上げを確保するのかを考えたとき、重要な問いかけは「誰が、なぜ、我が社に売り上げをもたらしてくれるのか?」ということでしょう。

まず「誰が」というのは「自社のお客様は誰なのか」ということです。売上をもたらしてくれるお客様の仕組みのことを「営業構造」といいます。不動産業における営業構造とは、管理を受託しているオーナーやお付き合いのある地主様の人数と結びつきの強さのことでしょう。管理受託オーナーの数が多ければ多いほど、現時点で強い営業構造を持っていることになります。経営者は毎年自社の営業構造をいかに強化するかということを経営目標にします。

次に「なぜ」というのは、見込みのお客様が自社のお客様となってくれる理由、すなわち「他社との提供サービスの違い」のことです。業界平均以上の利益を上げている会社にはサービスの質が違うとかサービスメニューが多いとか価格が安いなどといった明確な他社との違いがあるはずです。経営者は常に自社のサービスの質と量をいかに強化するかということを経営目標にします。

この「営業構造の強化」「提供サービス力の強化」という2つの経営目標のことを戦略目標といいます。戦略目標の設定と達成こそが自社の明日の売上を保証して
くれるのです。

不動産管理会社・売買仲介会社には戦略がない?

しかし、不動産管理業や不動産仲介業の経営者にはこの戦略目標がない方が少なくありません。

「貴社はどういう会社ですか?」という質問に答えられない経営者はいません。「私どもはアパートの管理をやっています。」「地域の地主様の資産処分にかかわる仲介業をやっています。」「わが社は従業員何人で売上はいくらの会社です。」といった感じです。

ところが、「貴社の戦略はなんですか?」と聞いてスカッと答えられる方は決して多くはありません。他社との違いと言っても出てくるのは「営業エリア」とか「業歴」とか「社員の数」とか、戦略的ではない要素ばかり。これは「違い」というより、棲み分けしているに過ぎません。

これまではそれで良かったかもしれません。でも今後はそうは行きません。これからの不動産会社経営には戦略が重要になってきます。なぜなら不動産の管理・運営や売買などが難しい時代になってきたからです。「不動産は誰がやっても儲かる」という時代は終わり、不動産オーナーにとってみれば付き合う不動産会社によって自分の業績や資産額が変わるようになってきたからです。

これが戦略を持って新規参入してくる不動産会社にとって今の旧態依然とした不動産市場はチャンスであると言われている所以です。ストックビジネスと言われる不動産管理業でも安穏としていられません。「わが社の管理戸数は○千戸で、毎年の管理収入は○億円です」といってもあっという間にその営業構造は変わる時代です。戦略のない不動産会社は早晩淘汰されることでしょう。

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