なぜ、あの顧客から 契約破棄されてしまったのか?

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最も真剣に聞いているのは性能の話

勉強会参加者の中で最も反応が良いコンテンツは、性能に関しての部分で、2番目が価格・お金の部分です。性能に関しては、2020年の省エネ義務化の問題があるにも関わらず、未だ対応が不十分な工務店、説明不足の工務店が多いからか「こういった説明は初めて聞いた」と言われる参加者も少なくありません。講師の側から見ていますと、特に以下の4つのテーマに対して、ほぼ全ての参加者が一生懸命メモを取り、正確に理解しようとしていることがわかります。


1 その工務店の標準Q値は必ず確認しましょう
2 疑わしい場合は、引き渡し前にC値測定(1以下を出すこと)を約束してから契約しましょう
3 グラスウールを使っている工務店は要注意
4 不快で冷たい床断熱より、今後は基礎断熱が常識

2020年の省エネ義務化を目前に控え、今から家を建てる人は、義務化後の性能を最低限満たす必要があります。エンドユーザーの立場で考えれば当たり前ですが、間もなく基準ができるというのにその基準を下回るような家をこのタイミングで作るということは、地デジ化が決まったのにその事実を知らされず、アナログ対応しかできないテレビを売りつけられるようなものです。ほぼ全ての参加者が、その説明をしてくれなかったこと、そして基準を下回るようなものを売ろうとしているモラルの低い工務店の姿勢に嫌悪感を示します。

原発問題や資源枯渇、今が異例の円高であることなども踏まえると、エンドユーザーにとって、将来の光熱費の問題にも関連する住宅性能の話は、ローンの月々の返済額と同等に、経済面からみても重要テーマであることは言うまでもありません。工務店がそれを軽んじているとすれば、エンドユーザーは馬鹿にされていると感じ、契約破棄に至るのも当然のことです。

勉強会では、Ⅳ地域であればQ値は2.7以下であることが必須で、できれば1.9以下が望ましく、C値は必ず1.0を切る必要があるということを伝え、工務店と契約する前に、その工務店の平均的なQ値とC値を必ず確認するようにお話しします。紙面の関係もあり、説明資料やツールの類はまた別の機会とさせていただきますが、家計という観点も含め、エンドユーザーは性能の話に対し、工務店の想定以上に強い反応を示します。そして、当然かもしれませんが、この反応の強さは予算のない方ほど強いということもわかって参りました。もし「このお客さんは予算も厳しいし、性能部分は説明を控えよう」とか「うちはローコスト客だからそこまでの説明を求める人は来ていない」などと考える工務店経営者がいるとしたら、この先間違いなく、その工務店はエンドユーザーから受け入れられず、淘汰されていくものと思います。エンドユーザーはそのくらい、この部分に大きな反応を示すのです。

性能の話はさらに、断熱材の素材の問題や床断熱の話へと進んでいきますが、ここも非常に反応の大きい部分です。「安いからという理由でグラスウールを使う工務店が多いですが、その場合は必ず断熱の施工現場を何度も確認しましょう。断熱欠損と言って断熱材の隙間が…」「新築なのにスリッパがないと床が冷たい住宅、それが床断熱のリスクですので、気を付けましょう。」などの話を聞く姿勢は真剣そのもので、ほとんどの参加者がメモを取りながら聞いておられます。

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