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自治体がその全域に関して土地利用の骨格を定めた計画をFプラン(Flächennutzungsplan:土地利用計画)といいます。Fプランは、人口動態とGDP の予測に基づき策定され、必要な施設の総面積を建蔽率または容積率で割ることで、その都市計画に必要な開発面積を計算・設定し、開発エリアに指定されなかった地域では建築物が建てられないといったルールもあり、厳格に運用されています。これにより、行政コストの増大を招く無駄な開発や拡張が行われないように管理しています。
写真の事例では、黒枠の地区は住宅地で、1ha(10,000㎡)に50人以上が住むことを目標とするエリアです。この人口密度という考え方は、ドイツの都市計画において非常に重要な要素であり、例えばヴォーバン地区の住宅地では1haに140人以上で計画され、これ以上の人口密度が実現されないとトラムや商業施設を入
れることができないルールとなっています。
地区に関して建築の規制や公共施設の配置を定める計画をBプラン(Bebauungsplan)といいます。Fプランが準備的な建設誘導プランであることに対して、Bプランは拘束的な建設誘導プランといわれています。いずれも自治体が策定し、自治体議会で決定されます。
ここで、ヴォーバン地区のB プランで定められた内容(環境負荷の低い住宅地計画)を紹介します。
まず、交通を必要最低限とするために、居住者の駐車場を地区内2ヶ所に集合型で設置し、併せて道路の計画をL字やU字とすることで、住宅地内には必要のある車以外は入れない計画としました。駐車場よりトラムの駅の方が近くなるので、自然と車を保有する住民が少なくなり、人口1,000人あたりの車保有数は、ドイツの平均で550台に対して、ヴォーバン地区は150台になったそうです。その代わり、カーシェアリングを導入することで、休日に遠出をする時など、用途に応じてストレスなく自動車を利用できる環境を整えました。
次に、低エネルギー住宅への誘導が挙げられます。フライブルクでは、新築住宅に対する省エネルギー基準を国の法律より厳しく(一次エネルギー消費量で30%減)設定し、現在はパッシブハウス基準(15kWh/㎡)で定めています。また、ヴォーバン地区の一角にあるプラスエネルギーエリアでは、断熱性能を高めることはいうまでもなく、屋根を借り上げて太陽光発電システムを設置し、給湯に関してはコージェネレーションシステムを導入することで、地区全体でのプラスエネルギー化を実現しています。( ジャーナリスト村上敦氏の案内より)
イギリスやドイツにおける都市計画に基づく住宅地開発では、住宅地内での雇用の創出、商業施設の誘致、省エネルギー住宅(ランニングコスト削減)、脱・車社会、人口密度の増大等をキーワードとして、その住宅地に住むことで、住民の生活コストが低減するという点で方向性が一致しています。
日本では、開発される住宅数と住民の世帯数はゼロサムの関係にあり、言い換えると、新しい住宅地が開発されると既存の住宅地から人口が移動するだけといった現象になってしまっています。追い打ちをかけるように、※太陽光発電で水を電気分解し、発生した水素とボイラーから発生する二酸化炭素でメダンガスを合成し、天然ガスタンクに返す人が集まらないような道路拡張を行うので、結局、そのエリアが過疎化して、行政コストの増大を招く原因となっています。地域の経済性を上げたいのであれば、人口密度を上げる、職住接近を実現する、生活費や教育、介護にかかるコストが安くなる等、地域に根差した具体的な内容を都市計画(Bプラン)の段階で盛り込み、まずは個人の収支が改善し、住民が集まってくる環境を作り上げることが、更なる地域の活性化につながるのです。
一方で、教育や産業を優遇策により誘致し、人口ピラミッドを再生することも重要な視点です。