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DEAI氏のチームでは、エージェントはクライアントファーストの考え方のもと、専門性の高いメンバーにより質の高いサービスを提供することに努めています。
例えば、新規のお客様に対しては、まず、資金の専門家がストロングバイヤー(購入動機が高い人)であることの確認を行い、物件案内をする前に必ず自己資金、住宅ローン事前審査、親族からの贈与等、資金計画に関するレビューを行い、確定した人としか物件を見に行くことはしません。経験上、40万ドルしか予算が出せないお客様に、一度でも50万ドルの物件を案内した場合は、物件の判断基準が上がってしまい、契約率が極端に落ちてしまうからとのことです。一見、アメリカの合理主義的な考え方に思えますが、お客様とエージェントの双方にとって時間のロスを防ぐ重要なポイントとのことです。
前述のショートセールを希望するお客様に対しては、必ずその専門家による個別相談を行い、状況に応じてショートセールを回避して自主再建する方法のアドバイスや、やむを得ないクライアントに対しては、ショートセールの成功と売却後の再建方法までサポートしています。
一方で、このようなショートセール物件やフォークロージャー(差押え)物件を買い取った後に、リモデリングをかけて再販し、キャピタルゲインを得るフリッピングと呼ばれるビジネスに取り組む方が増えていますが、DEAI氏によると十分な専門知識がないままフリッピングを行うことは、タイトルインシュアランスがつかないこと(登記保険:物件に隠れた登記があっても自己責任)や物件の価値判断が難しいため、エージェントとしてリターンとリスクを明確にしたうえで、取引に臨むようにしているとのことです。常にクライアントのことを考え、利益を最大化するという姿勢がうかがえました。
日米の不動産業界の違いは、開示義務による流通の透明性の違いが大きいとのことです。米国では売り手が全てを伝えなければならない法的義務が徹底されているので、それをサポートする契約書が整備され、結果として安全な取引が可能になるとのことです。ホームインスペクターについても、売主の開示内容が正しいか調べる権利として存在し、双方にとって重要な役割となっています。
契約の工程も、コンティンジェンシー・ピリオドという契約から開示事項の確認まで期間が17 日と決まっており、この期間の調査により満足がいかない場合はキャンセルとなり、手付金は返還される仕組みとなっています。途中でキャンセルになってしまうと全員がタダ働きに終わってしまうため、関係者全員が取引を成功させるために情報を出し合い、相互が検証することにより、売り手と買い手が一体となって取引の成功を目指しています。米国の不動産流通が発展している背景には、このような仕組みや風土が根付いているからともいえるでしょう。(鵜飼)
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