不動産産業の明暗を分ける 2年のカウントダウン

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不動産業界の明暗を分ける2年のカウントダウン

~税制改正をビジネスチャンスに変えるには~

税制改正大綱を公表

2013年1月24日、自由民主党・公明党が「平成25 年度税制大綱」を公表しました。大綱に記された内容は民主党政権からの方針を概ね引き継ぐ内容でした。施工時期は2015年1月1日以後の相続・遺贈より適用となっております。

今回の税制改正により今まで相続税対策を行っていた方々も対策の見直しを余儀なくされました。加えて今まで相続税がかからなかった方たちも「もしかしたら自分もかかるかもしれない」と意識し始めております。事実、相続税がかかる人は現状4.2%(平成22年度)から約6%台へと、現在の1.5倍ほど増加すると言われていますが、東京23区内に至っては4人に1人が課税されるという試算もあるようです。また日本の個人資産は約1,600兆円あると言われておりますが、そのうち世帯主70歳以上の世帯で全体の3分の1にあたる約550兆円を保有しています。

時がたてば自然と相続は発生しますので、この550兆円分の資産移転が始まることになります。相続相談が必要な方々は多くいらっしゃるもののまだ対策を打てている方は少ないため、法律施行までのあと2年の間相当数の案件が発生することが予想されます。他商材でもそうですが、専門的な相談はノウハウがあるところに案件が集まり、更にそこに経験が蓄積するという性格を持っております。案件が出てくるこの2年間こそ不動産コンサル事業化の最後のチャンスになるかもしれません。

皆様もご存じのとおり相続資産のおよそ7 割は不動産( 自宅・遊休地) です。そのため相続相談というものは実質不動産相談になりますので、金融機関や税理士をはじめとした士業の仕事ではなく不動産会社の皆様が取り組むべき仕事であると言えます。

業界の変化、不動産コンサルティングマスター資格平成25年1月に不動産流通近代化センターは「不動産コンサルティング技能士」を改め「公認不動産コンサルティングマスター」を制定いたしました。国交省の会議の場でも不動産コンサル能力の向上というテーマが盛り込まれ、不動産業界としてもコンサルティング力を高めていきたいという方向性は間違いないものと思われます。近代化センターが行った不動産会社向けのアンケートでも今後力を入れたい業務に不動産コンサルと回答した会社が最も多かったようです。業界自体が物件情報だけという状態から変わっていかなくてはならないと認識していることの表れであり、近代化センターの副理事長も「意識は確実に変化している」と述べています。

ただ一方で名称変更の理由にも挙げられておりますが、こうした資格者や不動産会社が相続相談に乗れることなどの認知が進んでいないのが現状です。また相続相談を含めコンサルティングを行いたいという意向はあるため、座学研修などは様々な団体で実施されているものの、いざ現場で活用するとなると尻込みしてしまい活用できていないことも多々あるようです。

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