不動産産業の明暗を分ける 2年のカウントダウン

(ページ:2/3)

相続・消費税増税で攻勢をかけるアパートメーカー

前号では相続・年金をテーマにした地主向けセミナーで大量集客できた事例の報告がありました。大手のアパートメーカーや金融機関もこうした地主向けセミナーを開催しており、新聞に案内が掲載されているのをご覧になった方も多いのではないでしょうか。我々が手をこまねいている間に、アパートメーカー各社はこのタイミングをチャンスと見て積極的な営業展開を仕掛けておられます。相続資産を圧縮するために、またどうせ建築するなら消費税が上がらないうちにと地主に対してクロージングをかけている状況が続いています。結果は数字となって出ており、平成24年9月~12月度の賃貸住宅の着工戸数は前年同月比では4ヶ月連続で増加となっております。

こうした状況の背景には、銀行の積極的な融資もあるようです。地方銀行の中には建築資金融資のために専任営業部隊を拡大しているところもあると聞いております。ある不動産会社社長からは「あれほど建てちゃだめだと言ったのに、気づいたころには契約してしまっていた」とかねてより親交のあった地主を取られてしまったとの話をお聞きしました。聞けばそのような例は多く、同様に苦い思いをされた不動産会社様も多くいらっしゃったのではないでしょうか。

お客様をグリップするとは?

皆様であれば前述の不動産会社様のように昔から付き合いのあるお客様を取られないために何をすべきだとお考えでしょうか。私どもではいままで人間関係でグリップしていたところに加え、先の例でいえばお客様に「○○だからアパート建築は止めておいた方がいい」という判断基準を「根拠のある数字」を持って提示すべきだと考えています。もし建築することで自分が損をするかもしれないと地主の方が明確に認識されていれば状況は変わっていた可能性もあります。業績を伸ばされている不動産会社様は「売った方がいい」「建てた方がいい」など結論だけ口頭でお伝えするのではなく、お客様に判断基準と選択肢をうまく提供する仕組みをお持ちになっています。ここで重要になるのは、いかにして根拠数字を聞かれた時すぐに提示できるかという点になってまいります。

page: p1 p2 p3

ページトップに戻る