金融円滑化法終了はアベノミクスを阻むのか?

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金融円滑化法終了はアベノミクスを阻むのか?
~円滑化法終了で3月末危機到来ってホント?

ハイアス・アンド・カンパニー(株)取締役常務執行役員

川瀬 太志

安倍政権の経済政策「アベノミクス」、株価も11,000円を越え、ここまでは順調に来ていますね。このアベノミクスを阻むものとして懸念されているもののひとつが、今年の3月末に期限が切れる「金融円滑化法」ですね。

金融円滑化法ってなに?

ご存知の通り、金融円滑化法とは、経営不振に陥った中小企業から金融機関に対して、借入金の返済猶予などの要請があったとき、できる限り応じる義務を金融機関に課した法律です。

2008年秋のリーマン危機後、民主党政権時の亀井静香金融大臣が大騒ぎして成立させました。中小企業に再建の猶予期間を与えることから「モラトリアム法」とも呼ばれています。

新聞などの報道によりますと、この2年間で円滑化法により返済猶予を受けた中小企業はおよそ30万〜40万社。貸出額にして約44兆円もあるそうです。

全国銀行協会統計によると、全国の金融機関の貸出残高は2012年12月末時点で428兆円。つまり、銀行貸出のおよそ1割強がいわゆる不良債権の予備軍になっているということになります。

これは確かに大変です。3月末に円滑化法の期限が切れて、銀行がこの不良債権予備軍の債権を回収しはじめたら、30万社以上の中小企業が倒産に追い込まれて、44兆円もの不良債権処理が行われることになります。そうなると一気に貸出は鈍り、景気回復に水を差すどころか経営難になる銀行も出たりして金融危機に陥る可能性すらあるのでは…と心配になりますね。

円滑化法終了で経済に激震が走る、か?

少し脅かしすぎたかもしれません。

結論から言えば、そんな事態に陥ることはまずないでしょう。雑誌のタイトルのように『円滑化法終了!経済に激震が走る!』なんてことはないし、アベノミクスに水を差すことなどほぼないでしょう。

銀行はそんなに一気に回収はしませんし、貸し渋りもしないと思います。なぜなら、金融庁の方針が「円滑化法が終わったといっても何も変わりません!」と明確に言っているからです。

昨年暮れに金融庁は、「中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針」を発表しました。その内容をまとめますと以下のようになります。

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