「R+house」をベースとしたパッシブハウスへの挑戦

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真のゼロエネ住宅を考える

さてここで、「R+house zero」の性能についてもう少し考察してみたいと思います。

A邸において、約4.4kWのソーラーパネルを搭載してエネルギーゼロの住宅を実現していることは前述しました。昨今の大手のハウスメーカー群は、屋根面にどれだけのソーラーパネルを載せられるかを競っており、中には10kW搭載!を誇っている住宅会社もあるほどです。では実際に、どのような住宅に載せているかというと、高断熱住宅(自称)と言ってはいるものの、気密性能が十分でないケースがほとんど……これでは本末転倒です。快適性の向上や健康の増進に資する住まい作りという主旨から遠ざかっています。

図5が表すように、躯体の性能がよくない住宅に、どんなに大きな容量のソーラーパネルを載せようとも、せっかく電力を消費して生み出した冷気や暖気が住宅からどんどん逃げて行くという事実に変わりはありません。ただ単に、「ゼロエネ住宅」という看板を掲げるために、発電量を増やして、エネルギー効率の悪さを覆い隠しているといったら言い過ぎでしょうか。

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自分の家で必要な分だけ発電して使う。これがゼロエネ住宅の本来あるべき姿ではないかと我々は考えます。自然エネルギーを利用し、躯体の性能も申し分ない「R+house zero」は、必要エネルギーを最小限に抑えているため、約4kW程の容量でエネルギー的にもお財布にもやさしいゼロを実現しており、住まい手にとって持続的に快適な環境を提供することが可能です。

今後の課題〜給湯エネルギーの低減に向けて

ここまで述べてきましたように、自立循環型の住宅づくりには、温熱環境や光環境をコントロールし、人々が健康に心地よく過ごすことと、地球環境負荷を下げることを同時に実現するという眼目があります。しかし実は、住宅で消費するエネルギーの3割は給湯エネルギーによって占められており、これについては、住宅の躯体性能の向上によって解決するというわけにはいきません。

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ヨーロッパでは、コージェネレーションシステムを使った地域暖房と給湯の取り組みがとても盛んで、省エネ対策への貢献度も大きいと言われます。日本でもこういったシステムの導入が望まれるところではありますが、法的・習慣的な側面からすぐに普及させるのは困難です。最も現実的な対策は、給湯を再生可能な自然エネルギーで賄うシステムを、個々に導入することでしょう。そこで、その代表格として昨今再び脚光を浴び始めた、太陽熱を利用した給湯システムについて、簡単に紹介したいと思います。

太陽熱利用システムは名前の通り、太陽の熱をそのまま熱として利用するため、太陽光発電に比較してエネルギー効率は高く、導入価格も安価です。集めた熱は給湯だけでなく床暖房や室内暖房機器へも接続でき、より効率的に太陽熱を利用できます。ランニングコストがかからないこともその魅力の一つです。一部の自治体では補助制度も用意されており、その普及に向けての今後の動きに期待したいと思います。

まとめ

「R+house」は、主にポスト団塊jr.世代の一次取得者層やシニア世代の建て替え層に向けた住宅として事業を展開しています。「高性能なデザイン住宅を手の届く価格で提供する」という「R+house」のコンセプトは、「R+house zero」でも変わりません。ただその中でも「もっと自然とつながりたい」「より自然な心地良さが欲しい」といった価値観やライフスタイルを持つ人たちのために「R+house zero」は誕生しました。

最初に少しだけ多くお金をかけることで、長い目で見るとコストのかからない心地の良いパッシブな住宅、それが「R+house zero」です。本誌をお読みになっている皆さまには、今後も発展し続ける「R+house」 の可能性を感じていただければと思います。

(ハイアス総研:高地・馬渕)

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