住宅の耐久性を損なう不同沈下

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「不同沈下」が引き起こす負の連鎖

「不同沈下」とは、建物が不揃いに沈下を起こす現象です。つまり、家全体が均等に沈むのではなく、一方向に斜めに傾くような状態をいいます。本来、水平・垂直を保っていなければならない、建物の構造を支える部材が、平行四辺形や台形に歪み、一ヶ所に荷重が集中することで、建物に大きなダメージを与えます。

そうした「地盤の傾き(不同沈下)」が建物に及ぼす影響として、雨漏りおよびそれによる躯体耐久性の劣化のほかに、省エネ性能の劣化の問題が挙げられます。

省エネ性能の高い家づくりには、断熱性能(断熱材性能+ 施工品質)と気密性能(万全の計画換気が条件)の両面が欠かせません。しかし、せっかく高い施工品質により優れた気密性の住宅が建ったとしても、ひとたび建物に歪みが生じれば、建築時の気密性能は損なわれ、それに伴い省エネ性能が劣化するのは時間の問題です。

加えて、正常な計画換気がなされないことにより、壁体内の換気が悪くなり、結露を生じさせ、結果的に躯体・構造体を傷めてしまう——つまりこの点においても耐久性劣化を助長してしまうわけです。床の傾きによってストレスがたまったり、眠れなくなったりするなどの健康被害にもつながります。

ここまでの話で、不同沈下を防ぐことこそが、住宅の耐久性を維持する極めて重要なポイントであることがご理解いただけたかと思います。

不同沈下の進行と沈下対策

不同沈下の進行は、概ね初期から最終まで5つの段階に分けることができます。まずは、この5段階を把握しておきましょう。

木造建築物の不同沈下障害

初期段階では、外壁や犬走に亀裂(ヒビ)が発生しますが、家が傾くまでには至りません。 第1段階では床が傾き始め、基礎や土間コンクリートに亀裂が発生するようになります。第2段階になると傾きはより大きくなり、壁と柱の間に隙間が生じたり、ドアや引き戸の開閉が困難になったりします。

第3段階では、柱が傾き窓やドアの開閉が不良となります。歩くと床が傾斜していることにはっきりと気づきます。風呂場や台所の排水に時間がかかるようになり、ときには逆流するなど、生活に支障をきたすようになります。さらに健康被害も出始めます。傾いた家で寝ていると血液の循環機能が低下していきます。

最終段階ともなると、柱や床の傾斜がひどくなり、立っていることすら困難になってきます。もちろん人が住めるような状態ではありません。

不同沈下については、なんとかして原因や予兆を早期に発見して対策を講じたい……誰もがそう考えます。しかし不同沈下は一気にやってくるのではなく、段階的に起こるものです。しかし一度起きてしまうと、終息するまで沈下を食い止めることはできません。

建築費用に同じ2,000万円を掛けたとして、それが20年しか住めない家となるか、それとも快適に50年住める家になるか――これは大きな違いです。

不同沈下によって前者のような家になる懸念をあらかじめ取り除くには、間違いのない地盤調査とその対策が必要になります。一般的には地盤調査によって地耐力が足りないと判断されれば、地盤改良工事や杭工事などを施さなければなりません。

住宅会社にとっては、予算の限られているお客様に対して、地盤改良のような付帯工事はできれば避けたい……そう思いがちです。しかし、長い目で見れば、不同沈下による欠陥住宅クレームの芽を事前に摘んでおくことこそ、正しい判断であると言えます。

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