省エネ性能を高めてもコストは上がらない

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性能が高い家は、建築コストも高い家?

2020年に、住宅も含めた建築物全般の「省エネ基準」が義務化されます。このこと自体は、住宅業界内で幅広く認知されています。一方、現在自社が提供している住宅について、省エネ性能をどこまで引き上げる必要があるのかを正しく認識し、その達成に向けて必要な手を打たれている会社はまだまだ少数派です。

Case.Aは2020年基準の断熱性能のイメージです。これについては、戸数ベースで約50%が既に対応済みで、今後その割合は、施行時期を睨みつつ、100%に向け上昇軌道を描いていくでしょう。

今後推定される人口動態の変化などを踏まえると、住宅着工棟数が減少に向かうのは明らかです。そのような市場環境の中、「競合他社と差別化を図るにはどうにか基準レベルを達成する、といった程度の住宅性能では不十分だ」と考える住宅会社は、それを上回る省エネ性能をもつ商品を開発していくことが必要になります。

しかし、顧客予算を大幅に超えてしまっては受注拡大には繋がらず元も子もありません。競争力のある品質と許容されるコストのバランスをどのようにとるかで悩まれている経営者は少なくありません。

Case.B-1は一つのイメージ案として提示したものですが、断熱材のコストをできるだけ抑えて性能を高めようとすると、例えば、壁体内充填断熱を150㎜、床下断熱材を200㎜といった、現実的には施工困難な状況に直面することになります。

そのため、実際には断熱材の性能を上げて(⇒部材コスト上昇)高断熱の省エネ住宅を建築されている住宅会社が多いようです。その結果、初期建築コストは上昇し、「省エネ住宅=高級住宅」というイメージが世間一般にも定着しています。

2020年に義務化される基準

目ざすべき断熱性能水準

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