中古住宅・リフォーム政策の動向と消費者アンケートからみたリフォーム事業のあり方~長期優良認定住宅の建設費補助へ概算要求の8割を充当~

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住宅業界を取り巻く環境

今年1 月末に、国土交通省から発表された「建築着工統計調査報告」。注目されていた2013 年通年での新設住宅着工戸数は、消費税増税前の駆け込み需要を反映し980,025 戸となりました。前年比では11.0%増で、4 年連続の増加となります。アベノミクスによる景気回復の追い風を受け、住宅業界は活況な一年だったといえるでしょう。

しかしこれでもなお、秋にリーマンショックが発生した2008 年の109 万戸には及びません。前回、消費税が3%から5%へと引き上げられた時(1997 年)には、その後2 年間で、新設住宅着工戸数は27.1%減少しました。当時と今とでは環境が異なるものの、中長期的には60 ~ 70 万戸の水準で推移するものと思われます。2014 年の通年での結果を見るまで即断はできませんが、長期的なトレンドが転換したとは考えにくい状況です。

住宅着工戸数の推移と予測

次にストック住宅の状況を振り返ります。少し古いデータになりますが、「平成20 年住宅・土地統計調査」によると、住宅ストック数(5,759 万戸)は、総世帯数(4,997万世帯)に対して約15%多く存在し、量的には充足していると考えられます(図表2)。

総住宅数、総世帯数及び1世帯当たり住宅数の推移

このストック住宅を築年数別に表したものが図表3 です。築20 年以上の住宅は、その内の約56%。「次世代省エネルギー基準(平成11 年基準)」を境と考えると、その適用前の住宅が約78% を占めます。このことから、ストック住宅の大半は、何かしらの劣化・老朽化が進んでいる、もしくは気密・断熱性能など住宅性能の問題を抱えていると言って良いでしょう。

建設時期別住宅戸数

中古住宅流通・リフォームに関わる政策の動向

政府は日本再興戦略(詳細はHyAS View vol.28 p.3~ 5 ハイアス総研report を参照)の中短期工程表における重要業績指標として、中古住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増させる目標を掲げました。

具体的には、リフォーム市場の拡大と良質な中古住宅の流通を促進することにより、中古住宅のリフォーム・流通市場の規模を2010 年の10 兆円から20 兆円に倍増させようという意欲的なものです。

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