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国税庁が発表した民間給与実態統計調査によると、2002 年から2012 年までの10 年間で平均給与が40万円低下しています。
この数字を住宅ローン返済力の低下分と捉えると、購入可能な住宅価格の上限は約300 万円も下がることになります。給与水準の低下に伴い、住宅にかけられる予算が少なくなっていく一方で、エネルギー負荷の少ない高性能住宅の普及に向けた政策が進められつつあり、2020 年には新たな省エネ基準が義務化されることになっています。
これまでであれば、こうした高性能住宅は、意識の高い住宅会社が意識の高い購入者に販売してきました数年後にはそれが必須となります。当然ながらこうした動きは建築コストの上昇要因となります。
性能向上による建築価格の上昇と消費者の予算低下。このジレンマを抱えながら、住宅会社は今後どのような住宅を提供していくべきなのでしょうか。
以下は、年代および年収別に買い手がどのような住宅を望んでいるかを、新建ハウジングが調査した結果です。これによれば、注文住宅が欲しいかを尋ねた質問に対して、「フルオーダーの注文住宅が欲しい」と回答したのは31 ~ 35 歳で46.9%、27 ~ 30 歳で33.6%に過ぎず、残り50 ~ 60%は、「規格住宅で良い」と答えています。
若年層で、かつ世帯収入が低いほど、この傾向は顕著です。これは、規格型商品の潜在需要が大きいことを示したものといえるでしょう。
規格型の商品が購入検討者に十分受け入れられる素地があるとすれば、今後は必須要件である高い品質・性能を保ちつつ、低コストで提供できる道が開けてきます。しかし、予算に限りがあるからといって、安かろう悪かろうという低質住宅や、仕様などについて消費者が選択できる余地が全くないような商品では到底満足は得られません。
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