これからの住宅市場で「選ばれる賃貸住宅」とは

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住宅市場の現状と土地活用市場の問題点

平成26年6月の建築着工統計では、少しだけ明るい兆しが見えたものの、ここ2、3年の着工水準からすれば住宅着工は復調したとは言い難い状況です。

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グラフを見ればお分かりのように、平成27年1月1日以降に発生する相続に適用される相続税の改正(増税)が背景となって賃貸住宅着工の水準は相対的に低下していません。

しかし、一見堅調な動きを見せる賃貸住宅建設による土地活用市場ではありますが、実は非常に大きな問題を抱えています。それは近年、社会問題にもなっている「空き家問題」です。

7 月29 日に総務省より発表された「平成25年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家の総数は過去最高の820万戸となり、なかでも「賃貸用の住宅」の空き家は全体の半分以上の429万戸となっているとされています。前回平成20年の住宅・土地統計との比較では空き家総数、賃貸用の住宅の空き家数とも増えています。こうした空き家問題の背景には、(地域によりますが)人口、世帯の減少による需要の縮退と、節税対策を狙った賃貸住宅建設の意向が増えた結果の過剰供給という、需要と供給のアンバランスがあると考えられます。さらに、そのような状況を「一括借り上げ」や「家賃保証制度」といった手段をもって賃貸住宅着工を促進するアパートメーカーの存在が重なり、結果として空き家が増加する中で住宅総数は増えるという市場になっています。

こうした空き家の発生という不確実な要素があるとわかっていながら、賃貸住宅経営に踏み出すオーナーにとっては、空室リスクを100% 回避する事は不可能であり、今後の賃貸住宅において大切なことは、「選ばれる賃貸住宅」と言う観点を持つということだと考えます。

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