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利益管理ができる企業体質はどのように造ればよいのか

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はじめに

住宅業界を取り巻く環境は、住宅着工棟数の減少に伴う「住宅会社間の競争激化」、及び住宅消費者の属性の変化(購買年齢層変化・年収減等)に伴う「受注単価の下落傾向」が顕著に表れてきています。

このような市場環境の中で住宅会社としてなすべきことは、もちろんこの市場に合った住宅商品を投入して、安定した営業構造を構築することは言うまでもありませんが、その一方で自社の内部管理体制を見直すことで、現状の商品競争力を更に高めることができるのであれば、そこに手を入れることも重要な視点です。

競争力アップのポイントは利益(原価)管理にあり

上述の環境変化は、「受注力の低下」「受注単価の低下」「利益率の低下」という住宅会社の経営に大きな影響を与えてきます。

そのような状況下におかれながら、これまでの住宅業界の慣習では、
(1)利益の確保(原価の抑制および低減)よりも竣工日に間に合わせることが重視される。
(2)コストダウン=下請け(協力業社)叩き、になりがちで、根拠のあるコストダウンができていない。
(3)一品生産的事業構造のため、実際にコストダウンが図られたのかどうか比較しにくい。
(4)経営者、管理者であっても、現場の仕事に時間が取られ、部下の教育や管理のための時間がほとんど取れていない。
(5)結果として、体質改善を図ろうとしても、なかなか成果が上がらない。

といったスパイラルに陥りがちで、なかなか改善が進まないことが現状です。

このような市場環境と住宅業界の現状を踏まえた時、住宅会社として、今後、どのような企業体質を形成していけば良いのでしょうか?

我々が考える解決策としては、一つ目に「利益確保を最大の目的とする企業体質を作りあげること」、二つ目に「利益(原価)管理を行うこと」の2点を、社員一人一人が強く認識することであると考えています。

原価管理の考え方

住宅会社における原価管理のPOINTを整理しますと、
●コストアップ要因の撲滅
●適正原価の把握(標準原価の設定)
●それに伴う発注及び現場管理
の3点に集約されます。これらが定着する企業体質が作り上げられるのであれば、平均的に3~5%(中には10%以上)のコストダウンは容易にできることでしょう。

この原価管理を考える上で、まず原価そのものについての理解が必要です。ひとえに原価といっても、下図のように、その発生形態・発生時期は様々あります。

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これらを予実で管理していくことが原価管理の第一歩となりますが、このような原価に対する情報が把握され、管理されるようになったとしても、それがただ事後的な数値管理であっては意味がありません。把握された情報に基づき、より正確な積算あるいは実行予算が作成されるようになり、さらには着工前、受注段階において、正確な原価が管理され続けることが重要なのです。

この一連の活動をまとめたものが下図になります。

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原価管理を行う上では、これらのすべてのことが確実に実行されなければなりません。その時に基準となるのが「標準原価」であり、この標準原価がしっかりと立てられるようになれば、①差異分析を行うことができる(コストアップ要因が把握でき、今後の改善点が明確になる)、②営業戦略の指針となる(基準となる原価が正確に把握されることにより、これまで経験的に行われていた営業活動が数値的な裏付けをもとに行える)ことが期待できます。

このように、正確な標準原価が把握され、それが常に管理される状態が作り上げられれば、御社における積算・購買、実行予算の精度が飛躍的に向上し、将来的には、各段階における見積額がほとんど(各段階毎の余剰分を除けば)一致するようになることでしょう。そして、このような、着工前の段階で原価が正確に見積もられ、改善点が明確にされる状況こそ、我々が今後目指すべき状態であるといえます。あとは、この計画値に対して確実に実績がともなうような発注・施工管理ができているかをチェックすることで、はじめて原価管理がなされた状態といえます。さらに将来的には、この計画と実績の管理のサイクルが、より短くなること、つまり着工前の計画と竣工後の実績に対する比較だけでなく、着工から竣工に至る各段階においても常に計画と実績が見直される状況を作り上げることが理想となります。

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