中古市場の活性化を支える仲介システム
-幸せをもたらす仲介機能とは-

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3. 効率的な住宅チェーン構築を目指して

第1章で記したように、住宅不動産は「情報の塊」であり、不動産市場、とりわけ中古住宅市場での情報整備はとても重要であることに加えて、「住宅仲介のもうひとつの重要性」というお話もいただきました。

2000年ころまでの住宅市場における需給関係は、需要が供給を上回る、少なくとも需給が均衡した市場でした。ところが少子化や高齢化あるいは経済の停滞など、
需要が縮小した現在では、供給過剰の状態になっており、そうした状態は未だに需要が供給を上回る米国なども遭遇したことが無い、「初めての経験」であると示されました。さらにこの問題は将来に向けて拡大する問題であるとも付け加えられました。そのような状況を理解した上で、不動産仲介ビジネスの将来のために、効率的な「住宅チェーン」の構築を目指し、単発でなく長期にわたって、売り手が買い手に、買い手が売り手になるビジネスモデルの実現を目指すべきです。

米国と比べ、日本の仲介業者は幅広い仕事をしている現実をふまえ、技術の進歩、とりわけビッグデータの活用により、例えば、適正価格の提示や適正な品質の開示を行うなど、本来提供すべきサービスであるマッチング業務の効率化をはかり、生産性を上げていくことが求められるという指摘をいただきました。そして技術で解決できる効率化に加え、お客様のマッチング、すなわち人間にしかできない売り手買い手の幸せを実現するサイクルをつくることによる効率化の重要性にも言及されました。売り手が買い手に、買い手が売り手になる「住宅チェーン」を回すといったことがますます重要になってきます。

4. さいごに

今回の基調講演の冒頭に、清水教授から以下のようなメッセージがありました。最後にその言葉を記すことで、今回のレポートを終えたいと思います。

「不動産仲介のお客様、買おうとする人は家を買って幸せになりたいと思っているし、売ろうとする人は売って幸せになりたいと思っています。そこに不幸な状態があるなら、その解決策を提供することが、我々と皆様の仕事です。そのような原点に立つと、皆様の仕事がわかると思います。家を買うということは投資ではなく、10年、20年、30年先を見据えてマッチングをしないといけないのです。仲介手数料が入って良かったではなく、その家が将来にわたって住宅消費者に幸せをきちんともたらすことが重要だと考えます。」

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