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次に、「調査3 資産としての土地・建物について」から、「3(1)土地は有利な資産か」と「3(2)土地を有利な資産と考える理由」、「3(3)不動産を所有した場合のリスク」の結果を取り上げます。
調査3(1)の結果、「そう(土地は有利な資産と)思う」が30.3%、「どちらともいえない」25.6%、「そう(土地は有利な資産と)思わない」が40.1%となっています(※わからないという回答を合わせて100%)。前章で見たように次世代に残す資産と考えている一方で、土地が有利な資産であるか、については「そう思う」と「そう思わない」という回答が逆転していることが分かります。ちなみに20年前の平成6年の同調査では、「そう(土地は有利な資産と)思う」が61.9%、「どちらともいえない」12.5%、「そう(土地は有利な資産と)思わない」が21.9%となっており、土地が有利な資産として考えられていた事が分かります。
続いて「3(2)土地を有利な資産と考える理由」の結果から、資産と思う理由についての結果が公表されています。今回平成26年調査の結果では、回答率の1位は「土地はいくら使っても減りもしなければ古くもならない、なくならない」で36.7%、回答率2位は「土地は生活や生産に有用だ(役に立つ)」で20.9%。そして、回答率3位は「価格の変動リスクの大きい株式等に比べて、地価が大きく下落するリスクは小さい」の16.8%でした。資産であると思う理由について、長期で回答率の推移を示したものが図表2ですが、これをみると、目減りもしないし古くもならないとの回答以外に突出する理由が見当たらず、「土地の価値」において何を価値と考えるか、には多様性があることが伺えます。裏を返せば「絶対的なメリット」が理解されていない可能性があるとも言えそうです。
さいごに、生活者の目線から伺うことができる、土地・建物の問題に関する「これから」の問題について取り上げてみます。
今回の調査で「調査5身近に感じる土地問題などについて」から「5(1)身近に感じる土地問題」の回答結果を取り上げます。
図表3で示したように、この問いに対する複数回答による回答率の1位は、「空き家・空き地や閉鎖された店舗などが目立つこと」で50.2%でした。次いで同2 位「老朽化した建物の密集等、災害時の不安が大きいこと」30.9%、同3位「手入れされていない農地や山林が増えてくる事」30.2%と続いています。
注目するのは、「空き家・空き地や閉鎖された店舗などが目立つこと」という項目の回答率がここ3 年の結果で年々高くなっている点です。新聞報道などでも空き家の存在と、その問題に関する報道が増えている事にも影響されていると考えられますが、空き家問題は生活者にとっても一般的な問題になりつつある事がこの調査でも分かります。
今回の調査から、生活者は住宅不動産を資産として次世代に残したいが、有利な資産としつづけるためのアイデアをきちんと整理できていないのではないか、という仮説が考えられます。このことは、空き家の増加問題の原因にも通じる視点だと思います。
「住宅不動産の資産化」に通じる手段を備えてゆくことは、これからの事業を継続的に成功させる意味で重要なことといえそうです。
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