シリーズ調査を読む#007
消費者、事業者、ファイナンシャルプランナー に聞く「買い時感」

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2.「住宅市場動向のまとめページ」から

図表8は、住宅事業者が「27年度下期の見通しが上期よりも良いと考える理由」、一般消費者とFPが「平成27年度下期は住宅の買い時であると考える理由」について並べて記すことで、その差を比較したものです。いずれも低水準な住宅ローン金利と消費税引き上げという大きなイベントが契機であるということは住宅事業者、一般消費者の共通理解となっているようです。しかし、金利先高感という「変動の程度」とフラットに代表される「将来にむけて有利になりうる条件」という点では、認識がばらついていることが分かります。消費税の話は一般的な報道でも取り上げられ分かり易いトピックではありますが、金利の現状と先行きの認識を専門家として詳細に伝えることも商機の拡大には有効ではないかというヒントだと思います。

つぎに、同じまとめのページにある内容から抜粋したのは「住宅事業者の重点的取組事項と一般消費者が重視するポイント」のギャップについてです。図表9で示されているように、住宅事業者が重点的に取り組む事項と消費者が重視するポイントは一見するとずれているように見えます。しかし、例えば「土地の仕入れ」と「立地」は土地に対する要件であり、消費者が考える「デザイン」には意匠だけではなく空間的なアイデアまでを含むと考えれば、事業者が重視する「住宅プランの提案力」は包括されるものと考えられます。そのように解釈をすれば、おおむね上位3位までの事項は建物の性能、土地に関する情報、そしてプランとデザインに関連する事項として共通していると考えられます。

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ところで、両者ともに最も重視する「建物の性能」をさらに詳細に聞いた結果が図表10です。示されているように、住宅事業者が建物の性能に関して重視する事項は、1位省エネルギー性能、2位耐震性・耐火性、3位高耐久性となっていますが、消費者の重視事項は、1位高耐久性、2位耐震性・耐火性、3位省エネルギー性と、若干のギャップがあります。これはわずかな差ともいえますが、消費者が重視する程度に従って必要な情報を十分に提供できているかは住宅事業者からすれば成果の差に繋がり、消費者の立場から見れば頼りになる事業者であるかの見分けどころに繋がると考えられます。

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競争の激しくなる住宅市場において、競合優位を獲得し競争に勝ち残るため、住宅事業者と消費者のどちらの立場に立って行動するか、その選択は火を見るより明らかです。2章でみてきたように、金利と将来の家計計画や、土地情報の提供、消費者の期待を上回る性能とデザインの提供について、ハイアスでは、住宅FPのマイスター制度の運営を通じて、お金と人生と住宅の関係をきちんと整理し正しい判断軸を提供するスキルを磨く機会を提供し、あるいはR+houseシステムによる高性能デザイン住宅の提供やAMSを使った最適な土地選びの提案など、消費者の立場にたった行動を具体的にとるための環境整備や教育機会の提供をしています。繰り返しになりますが、消費者の立場に立った行動をとる重要性がますます高まってくるこれからの住宅不動産業で勝ち残る為に少しでもお役に立てれば幸いです。

(ハイアス総研 矢部)

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