今問われる住宅会社の地盤に関しての倫理観
〜高まるエンドユーザーの地盤への意識。住宅のプロとして備えるべき最低限の見識とは〜

(ページ:2/3)

住宅会社が抱える住宅地盤トラブルリスク

地盤補強工法には多種多様な工法があります。多くの住宅・建設会社は、地盤調査データに基づき十分な支持力を確保できる工法を予算・工期等を考慮した上で選定されていることと思われます。あとはきっちりとした施工品質を管理することで基礎着工となります。ただし、選択する工法によっては施工品質以外に、以下のような住宅地盤トラブルリスクが潜んでいることを皆様ご存知でしょうか。

(1)お客様の土地で土壌汚染!?
セメント系固化材における土壌汚染

2003年2月に施行された土壌汚染対策法により公共工事では六価クロム対策として事前の溶出試験の実施が求められているが、民間の住宅施工においては、六価クロムが発生する事実がほとんど認識されていない。同法施行に基づき汚染が発生した場合、土地所有者は汚染原因者に対して除去費用を請求することが可能。これを民間の住宅施工に置き換えれば、元請となる住宅会社がエンドユーザーより除去費用を請求されることと考えられる。

(2)知らないうちに土地の資産価値が下がる!?
埋設物扱いとなる補強工法による土地資産価値毀損

2003年1月より不動産鑑定基準が改定され、「土壌汚染」や「埋設物」の有無をチェックし、もし発見された場合、除去費用等を割り引いて土地評価額が算定されるという方針が明文化。「埋設物」の除去費用は地盤補強工事費用のおよそ3 倍程度と言われており、除去費用相当額の土地資産価値を毀損している。

(3)施工現場でマニフェスト違反!?
セメント系固化材を利用した補強工法採用時の残土処分方法

セメント系固化材を利用した補強工事実施時に発生するセメント混じりの残土は確実に「がれき類」として産業廃棄物に該当し、マニフェストを発行し適切に処分する必要がある。マニフェストを発行せず処分を実施した場合、元請の場合は勿論、下請業者施工であった場合でも元請の工務店も責任を負うものとなる。従って、残土処分について、予算優先で下請業者任せの発注とした結果、産業廃棄物の不適切な処分により、元請の工務店が民事または刑事上の責任を問われる可能性がある。

(4)液状化対策

国土交通省告示1113号第二では、地震時の液状化による地盤の変形について有害な損傷、 変形及び沈下が生じないことが定義されており、地震時の液状化による沈下抑制効果のある工法選定が望ましい。

エンドユーザーの「安心感」を獲得するためには、施工品質以外にも地盤補強工法選定時には少なくともこれらのリスクを考慮しなければならないことを十分に理解しておくが必要があります。

page: p1 p2 p3

ページトップに戻る