シリーズ調査を読む#011
資産価値減が加速!住宅・宅地資産の変化を追う
「平成26年全国消費実態調査 家計資産に関する結果(総務省統計局)」より

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世の中には様々な団体や組織によって市場動向の調査リリースが行われています。この企画は溢れる様々な市場調査から「HyAS View」読者の皆様にとって関心の高い、あるいは有益と思われる調査結果から参考となるトピックの紹介・解説、事業運営の参考となる情報提供ができればと考えています。

今回は、総務省統計局から平成28年3月25日に発表された「平成26年全国消費実態調査」の中から「家計資産に関する結果 結果の概要」をご紹介します。この調査は5年ごとに行われる調査で、今回紹介するのは最新の調査結果となります。同調査のうち「家計資産に関する結果」では、家計が持つ資産を金融資産(貯蓄現在高から負債現在高を減じたもの)と実物資産(住宅資産、宅地資産(借地を含む))、そして住宅の設備、家具、電気製品、自動車、自動二輪車、会員権など耐久消費財等資産の3つの区分でそれぞれの保有状況が調べられています。

なお、調査目的、調査対象、調査手法などの詳しい情報は総務省のHPをご参照ください。(http://www.stat.go.jp/data/zensho/2014/cgaiyo.htm#a

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1.資産額階級別世帯分布

図表1、2はそれぞれ家計資産総額、住宅・宅地資産額の階層別の世帯数の分布です。図表1の家計資産総額の分布構成から、例えば資産総額500万円未満の世帯は全体の18.5%、総額1億円以上の世帯は全体の6.1%ということがわかります。また平均値では世帯あたりの家計資産総額は3,491万円となっていますが、中央値(データを小さい順に並べたとき中央に位置する値)は2,238万円と平均値と1,000万円以上の乖離があることが読み取れます。つまり、多くの世帯の家計資産総額は平均以下となっていて、わずか数%の大きな資産総額を保有する世帯の存在が「平均」を引き上げている状況がわかります。

住宅・宅地資産額を見ると、住宅・宅地資産を保有しない世帯の16%、住宅・宅地資産額が1,000万円から1,500万円の世帯の14.9%が目立っています。住宅・宅地資産を保有する世帯だけでみた平均値と中央値は、それぞれ2,768万円、1,804万円とやはり1,000万円程度の乖離があることがわかります。

住宅・宅地資産についてもう少し細かく見ると、分布構成率としてグラフの上にある値は平成26年の構成率、( )付きの値は平成21年の構成率の変化に気付きます。具体的には平均値を上回る住宅・宅地資産額の世帯構成率は微減しているのに対し、平均値以下の資産額の世帯構成率はその階層も微増していることがわかります。つまり階層ごとの構成率は下方にずれる傾向にあることがわかります。

2.実物資産の変化

20年間の調査結果を一度に並べたものが図表3です。平成6年と平成11年は「全世帯」の、以降は「二人以上の世帯」の資産額を表している違いを承知した上で、5回の調査結果に著された結果を並べています。特徴的な推移としては、金融資産が平成16年から平成21年の変動を除いて(これも微減)、ほぼ増加し続けているのに対し、宅地資産と住宅資産はいずれも減少し続けていることが明らかになっています。とりわけ宅地資産は20年間で3,636万円から1,832万円とおおよそ半減となっています。

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一般的には、市街地のスプロール化とともに過剰供給が続く一方で、生産年齢人口の減少を伴う人口減と人口構造の変化による需要減少が徐々に進行したことで、宅地市場の需給関係が変わり、宅地資産の価値低下が続いていると考えられます。

3.最後に

ハイアスは企業理念において「住宅取得が個人の資産形成に直結する社会の実現、それが我々のテーマです。」と示しています。今回確認したように資産価値が減少し続ける現実に対し、ハイアス、そしてパートナー企業である住宅・不動産会社が個人の資産価値を高めるための行動や考え方を示すことができるか? それがますます問われることになってきたと言えます。ハイアスは企業活動を通じて社会課題を解決する、CSV経営発想で今まで以上に社会課題の解決に貢献できる企業を目指します。

(ハイアス総研 矢部)

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