「生涯顧客化」と「紹介獲得」の仕組みづくり
~10年後を見据えた“今、取り組むべき住宅事業のサスティナブル戦略” ~

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国の方針から見る今後10年の住宅業界の市場動向

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平成28年3月に閣議決定された住生活基本計画にもあるように、住宅不動産業界では住宅ストックビジネスの活性化が大きなテーマになってきます。また、同年5月に可決された改正宅地建物取引業法(宅建業法)も同様に、既存建物取引時の充実した情報提供を促進することで、既存住宅の流通促進を図ることを目的としています。

いずれの話も、住宅履歴情報管理が事実上義務化され、事業者にも顧客にも情報の重要性が高まる背景です。

図表1は今後10年の住宅業界の市場動向を示しています。過剰ストックや人口減少も重なり、新築住宅マーケットは求められる性能レベルも上がり、競争が激化することが予測されます。従来通りでは戦えなくなる市場の中で、自社の受注数を維持・拡大していくためにどのような準備をするかは、今後の新築住宅事業を展開する上でも経営者の重要な仕事です。

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大きく変化する市場で工務店がとるべき戦略とは?
~新築・アフター受注を安定させる顧客構造を持つ~

競争が激化し、大きく変化していく住宅業界において、地域工務店が考えるべきことは何でしょうか?それは、「生涯顧客化」です。

紹介による受注もアフター受注も、既存のお客様が起点になります。一度接点を持ったすべてのお客様と末永いお付き合いができる繋がりを作っておくこと、つまり「生涯顧客」を増やすことが安定的かつ効率的な新築住宅の受注アフター受注につながるのです。

では、どのようにして「お客様との繋がり・絆を作る」のでしょうか。お客様に満足を与える性能品質の高い住宅を提供したり、丁寧な対応を心がけたりすることはお客様との繋がりを作る「最低限の要素」であることは間違いありません。しかし、大手や異業種参入で競争が激化することにより、広告量やコストの差でお客様が他社を選んでしまう可能性が高まるため、“いい仕事をしたのだから”と個人の関係性に頼る心情的な繋がりだけでは、“何かあった時は新築を建てた工務店に戻る”というお客様と工務店との関係性を構築するのは難しくなります。

また、広告による顧客との接点だけでなく、「生涯顧客化」を実現するための具体的なアフター業務の内容充実や、住宅履歴情報の管理なども最低限必要な備えです。新築やリフォームの提案時にも、“建てて終わりではなく、住み始めた後のことも考えてくれる信頼できる会社である”と認識してもらえなければ、お客様から選ばれなくなってしまいます。

これからは地域工務店といえども、いや地域密着の事業だからこそ、充実したアフターサービスを提供でき、組織的な仕組みで「生涯顧客化」を実現すべきなのです。

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