シリーズ眼を養う#016
R+house 住宅のデザインを探る

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山地より不規則な斜面が海へ向かって連続している郷と呼ばれる地域。
山と海と川に囲まれ、農・緑・住が調和し人間性の根付いた町である。
クライアントはそこに仕事の関係で移住してきた。ここ数年急増する人口に伴い、住宅都市としての要素が高まり全体が宅地化していくことで継ぎはぎ状の敷地が枝分かれした街路とともに不規則に住宅を同伴させている。
今回の計画地もその斜面の中腹に位置し、隣地の建築物はあらゆる方向をとらえていた。連続する斜面に位置する敷地は隣地の建築物は高低差をもって関係していることから、その特異性をいかしたフットプリントが重要と考えた。
計画のアプローチのコンテンツとしたものは、地域性、景観、連続性、距離感。先住の人間性と移住する人々が共存していくなかで最も重要なのは周辺環境との関係性、アプローチだと考え、居住空間との間にバッファーゾーンとして深い軒下空間を配置することで、クライアントと近隣とのなかにいい距離感をもったヒューマニティーを形成する。同時に雨に濡れない車庫となり居住性を格段に向上させた。
2M高い南側の隣地と北東の抜けた景観を生かし、全体構成として中庭を中心に囲い、北東にそびえる山脈に向かって視線を連続させるようなヴォリュームを構成し囲いの連続性とリズムが居住形態をまたスケールアウトさせる。
内部空間もまた囲われた安心感の中で抱擁と包囲の体験がバックミラーとなり、解放され調和されていく。
各居室が景観を同伴させた関係を保つことが出来たのも土地の特性から生まれたインスピレーションであり、建築の可能性だと思う。
建築するとき最も重要視していることは土地の読み取りであり、そことクライアントの要望をどうつないでいくかが建築家の役割だと思う。

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