シリーズ眼を養う#021
R+house 住宅のデザインを探る

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吉岡 香織

藤田摂建築設計事務所

55m×11mの東西に細長い敷地である。周りは畑に囲まれ、空と緑が広がり、北側にはビニールハウスが、南東には平屋の住宅が隣接する。その周辺環境に違和感なく溶けこむように東西に細長い平屋の計画とした。
東道路からのプライバシーの確保と施主の望むLDKの開放性を両立させること、宮崎県という地域区分が7地域の蒸暑地でどのように温熱環境を整えるか、ということが課題であった。
計画は南側に視線が抜けた開放性のあるLDK。玄関からLDK、水廻り、居室へと奥に行くにつれプライバシーの深度が深まる。また、家事動線は使いやすいように回遊型とした。細長い空間の中でLDKを中心に家族が集い、個々が居心地の良い空間を見つけて過ごす住宅を目指した。
南面のデザインはTVコーナーのボリュームを外へ広げることで空間を有効活用し、その張り出した部分を板張りとすることで建物のアクセントとしている。袖壁は道路面からの視線を遮り、リビングへの風を引き込むウィンドキャッチとしても有効である。また南側に十分な軒の出を確保することで夏場の日射遮蔽を行っている。
デザインとは何か、見た目の美しさだけではない、機能性や内と外のつながり、ライフスタイルなど、それらすべての関係性を紡いでいくことである。

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