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国土交通省が実施する、元請けとして受注した建築物リフォーム・リニューアル工事に関する調査(調査対象。建設業許可業者5000者)「建築物リフォーム・リニューアル調査報告 平成29年度上半期受注分(概要)」によると、工事1件あたりの平均受注高は63万円、維持・修理(設備の入れ替えなどの機能・耐久性の向上を意図しない工事)を除いてもっとも多い改装・改修(機能・耐久性の向上を意図した工事)の平均受注高は131万円という結果が示されています(図表1)。
同調査から「工事目的別 受注件数」に注目すると、①でみた低単価に止まる理由がわかります。調査結果で示される工事件数310万件中、約290万件が「劣化や壊れた部位の更新・修繕」という建物の性能品質の向上を伴わない、すなわち付加価値を生みにくい工事です(図表2)。この調査結果からを見ても、現状のリフォーム事業の工事あたりの単価の低さ、そして収益性の低さの背景がわかります。
ある業界紙の調べでは、リフォーム業界の「トップランナー」は店舗あたり売上3億円と言われています。国交省の統計を受けて、仮に工事の平均単価を100万円とすれば、1年間で300件の受注をしなくては実現しない売上です。逆に言えばトップランナーになろうとすれば300件を受注して工事できる体制を準備しなくてはならないということです。一般的にリフォーム事業が「労多くして実りが少ない」と言われる所以はここにもあります。
「労多くして実りが少ない」リフォーム事業ですが、ではその中で生産性を高めるために②で見たように劣化や破損に対応した更新・修繕中心のリフォーム事業を脱却し、高い生産性をもたらすリフォーム事業への転換を考えた時、どんな価値を提供すれば良いのでしょうか。その可能性を図表 2の「工事目的」から探ってみると「省エネルギー」と「高齢者対応」というキーワードが浮かびます。
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