PMS(プロジェクト・マネジメント・システム)導入の成果
〜標準工程を確立することで現場生産性が高まる〜

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PMSの取組は標準工程と事前段取りの見直しから

A社は既にハイアスがリリースしているCMS(コスト・マネジメント・システム)を導入し、自社の原価管理水準を高め、利益率を向上する取組を進めていました。この取組の中で実行予算精度を高めるべく『着工2週間 前までに実行予算を作成し社内会議で承認を得る』という目標を設定していましたがなかなか定着しませんでした。現場監督は担当現場ごとの段取りや現場で日々発生する様々な問題の解決で常に忙しく、実行予算を 作成する時間が十分に確保できなかったのです。
これは時間の使い方が下手なのではなく、住宅1棟完工するまでの業務フローが整備されていないことに起因しています。突発的に発生する段取りや図面の変更を上手くおさめて無事お客様にお渡しするために奔走する現場監督にとって、今までと違うアクション(この場合は実行予算をちゃんと作るということ)を業務に盛り込むことは余計な仕事が増えるという負の感情しか生んでいませんでした。
A社ではPMSを現場管理レベルを高めるノウハウとして捉え、全ての案件の着工までの業務と着工後の工程がスムーズに進捗することと現場監督の業務を標準化し、やるべきことに適切な工数を投下できる状態の実現を目的として導入しました。
PMSでは最初の初期研修①(1泊2日)で『自社標準工程表と着工前業務フローの作成』と共に『標準工程と着工前業務を円滑に進めるための段取りの整理』を行います。A社では社長と現場監督2名で研修に参加し自社の標準工程を再検討していきました。

工程表完成イメージ

PMS初期研修①で標準工程の作成ワークをしていると参加企業からよく「おや、工期が短いぞ。ヌケモレはないか?」との声が出ます。ネットワーク工程の考え方で各工種毎の施工必要日数を算出し工程を繋げていくと今までいかに各工種毎にバッファを見込んだ工程を組んでいたかわかってきます。基礎着工から社内検査まで150日という会社様がこの研修を経て100日で完工可能ということが判明した事例もあります。A社では工期120日が90日に短縮出来ることがわかりました。
しかしそれだけでは実際には工期は短くなりません。今まで工期に余裕をもたせなくてはいけなかった原因を潰さなくては絵に描いた餅になります。多くの住宅会社では「作業日程のズレが2-3日生じても全体の工期に影響を与えないよう」各工種の施工日数が設定され、余裕を持った工期の中で各業者を調整しながら作業を進めます。
この現状から脱却し、本来可能なはずの施工日数の積み重ねをそのまま工程に出来るよう最短で工事を進めるには手待ち手戻りが発生しないようにしなくてはいけません。
PMSでは各工種の「事前段取り」をタスクとして登録・一覧化し、予実管理を進めていける様、研修で各工種ごとにタスク洗い出しを実施していきます。

事例

このように「タスクの納期設定」を工種ごとに進めていくと「誰がいつまでに何をすれば全ての工種が円滑に進むか」可視化されます。タスクは各邸単位でも必要ですが、現場監督は同時に複数の物件を動かしていますので個人単位のタスク一覧を常時予実確認しながら業務を進めていくことで段取りのヌケモレを撲滅していきます。

市場に流通している多くの工程管理ソフトではこの「タスク予実マネジメント」の機能が不足しており標準工程を策定してもそのとおりに実施されなかったのです。

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