シリーズ眼を養う#023
R+house 住宅のデザインを探る

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稲沢 謙吾

椙設計室

計画地は古くからの住宅地で落ち着いた雰囲気のある印象の場所です。ただ周囲は建物に囲まれていて、前面道路も狭くそのような中でどのように気持ち良く生活がおくれるかを考える事がテーマだと思いました。

クライアントからのご要望は、ご夫婦の職業柄来客が多く、その人たちが気持ち良くくつろげる場所を作ること、またそれとは対極の一人で篭れるような場所(ヌック)を作ることがありました。

私なりの回答として、玄関扉までのアプローチ(「露地」と名付けています)を長く設け来客のワクワク感を演出する事を考えました。
そのため通りから玄関が見えず、中庭から玄関に誘導する、ちょっとワクワクする計画となっています。

玄関扉を開くと建物を分断するように土間(玄関)があります。
とても開放的で靴を脱がなくても来客はくつろげ、隣接する畳コーナーやリビングでは思い思いの格好で会話が弾むような仕掛けをしています。その開放的な明るい空間に付属して、とても小さく暗いスペース「ヌック」 があります。ここでは一人で本を読んだり、考え事をしたり、時には昼寝をしたり….この場所はあえて天井も低くし、採光も最小限としリビングとの対極にある落ち着いた空間としました。

2階には個室が配置されていますが、将来の家族構成の変化に対応できるようフレキシブルに計画し、小さなお子さんが散らかしても楽しく生活 ができるよう配慮しています。

この住宅がご家族や招かれた皆さんの会話が弾み、いつの間にか時が 経ってしまうようなホッとする「場所」になればと切に願っています。

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