シリーズ眼を養う#028
R+house 住宅のデザインを探る

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山口 智久 様

建築設計工房 BO5

山口 智久

この計画は施主様が先代より引き継いで永年住んできた住宅の建て替え計画でした。施主様は旧宅に大変愛着を持たれていて、当初は耐震補強など改修をして引き続き住めないかという御相談に来られ、改修か新築か迷われて断腸の思いで新築に踏み切られたという話を事前に伺いました。

初回のヒアリング打合せは幸運にもその旧宅にて行うことができました。外観にルーバー状の化粧が施されていたり、室内のプランも玄関ホールから各室にアプローチする「ホール型」であったり、短い時間でしたが充分に魅力を感じ取ることができました。そこで新宅の計画に際して考えたのは「記憶の継承」ということでした。旧宅をそのままコピーして持ち込むのではなく、良い部分をエッセンスとして取り入れて「あぁ前の家もこんな感じだったよねぇ」と自然と感じられ、そう感じられることが新宅の住み心地の良さにつながると考えたからです。

例えば、敷地には充分な余地がありましたがほぼ旧宅があった位置に新宅を配置することで住宅内から見える景色をあまり変えない、玄関の位置・入り方を旧宅とほぼ同じようにすることで家を出た所からの動線を変えない、といったことや、素材としてルーバー壁を建物内外に取り入れることなどです。

また旧宅は平屋でしたが新宅は2階屋です。当然ながらこれまでになかった階段という要素が発生しました。2階には子供部屋および収納という御要望でしたのでお子さんが上り下りすることが多くなることが予想されたため、リビングに面しかつキッチンに近い位置に出られ、自然と家族間コミュニケ―ションが活性化されることを促しました。後日談ですがお嬢さんが階段に座って脚をプランプランさせながら勉強しているという微笑ましい話を伺いました。想定を超える活用法でしたが計画が上手くいった賜物ではないかと思っています。

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