リノベ先見人

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View 編集部(以下View): 住宅市場は新築着工数の縮小が見込まれていますが、リフォーム/リノベーション市場にはどのような影響が出ているのでしょうか?

福島: 極端な言い方ですが、ハウスメーカーなどは既に新築事業を割り切っているといっても過言ではないです。しかし彼らも売上は伸ばしていかなければならない。そこで登場するのが既築/中古のリフォーム市場です。加えてここ数年来の中古住宅流通を活性化させようという国の方針もあり、大手企業や異業種事業者もどんどん参入してきたため競合市場になっている、というのが現状の背景です。

View : リフォーム事業は新築事業から簡単にシフトできるものなのでしょうか?
福島: リフォーム事業には「工事単価の安さ」という大きな課題があります。
主なリフォームユーザーは比較的高齢な方々ですが、高齢者には将来不安という心理的なハードルがあり、「部分部分を少しずつリペアしてゆく」という傾向になります。そうしたニーズに合わせると1工事あたりの単価はあがらず生産性も下がります。その結果工務店はなかなか儲からないという悪循環にハマりやすくなります。こういったリフォームの現状を知らず飛び込む業者さんが多いです。
そんな中で注目されはじめているのが「リノベーション」です。以前国が示した定義では、リノベーションとは「新築時の目論みとは違う次元に改修する」こととする一方で、リフォームは「新築時の目論みに近づく様に復元する」こととされています。つまり、今ある建物に大規模な改修を施して、新築の状態よりも性能を向上させたり、価値を高めたりすることが考えられます。
一般的に、リノベーションは工事単価が高く、さらに比較的高齢な方だけではなくオシャレで若い方にも満足度が高い工事といえます。10年程前まではリノベーションという言葉は住宅取得意向を持っている人でも殆ど認知されていませんでしたが、今では9割が認知している。
「新築は価値が落ちていくだけ」、「中古は安いがリペアしても価値は現状横ばい」という考え方を「安い中古をリノベして今の生活にあわせて価値を高める」という考え方が浸透してきたことで、生活者にも生活の快適さと資産価値の面でメリットが増えるし、業者にとっても生産性向上と高収益につながります。

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