シリーズ眼を養う#034
R+house 住宅のデザインを探る

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野村 庸高 様

アキアーキデザイン一級建築士事務所

野村 庸高

集約と余白のある住まい

敷地は郊外の住宅地に位置し、7.5m×20.0mの奥行きある形状である。隣接地が、今後区画変更の上、分譲される予定であり、周辺環境の不透明さが感じられた。しっかりとプライバシーを護りつつ、住まい手のおおらかなお人柄を映した、広がりを感じる住宅を目指した。

延床面積28坪の本住宅は、広がりを獲得するためにいくつかの工夫がある。まず、玄関からSICを抜ける家族動線を持っている。雑然とした裏動線を意識の外に追い出し、玄関を開けると階段越しに南側の庭まで見通せる。次に、リビング上部の吹き抜けである。将来の区画変更で、1階南側の大開口にブラインドが下がりがちになった時でも、吹き抜けを通して明るい光が落ちてくる。最後に、洗濯物動線の整理である。洗面脱衣室で洗濯後、同部屋のパイプで洗濯物を乾かし、隣接する家族共用収納にしまう。その収納を挟んで各居室が配されている。家事動線は極めて短い。

これだけの家事空間をコンパクトに集約することで、住まい手は、1階には将来ミュージックボックスや暖炉を置く土間空間、2階には仕切れば子供部屋にもなる家族リビングを手に入れた。

コンパクトながらも、将来の生活に対応する余白を残す住宅となった。

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