シリーズ眼を養う#036
R+house 住宅のデザインを探る

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植本 俊介 様

株式会社植本空間設計舎

植本 俊介

2つの立方体のズレによる二世帯住宅

広島市の住宅街に建つ完全分離型の二世帯住宅である。
アプローチは東側だが、西側にも道路があり、敷地から2mほど下がっていて、道路からは覗かれにくい。西側道路のさらに向かい側には緑豊かな林が広がっている。

家づくりの基本は、まず「敷地をいかす」ことにある。コストの制約から総二階が求められたが、大小2つの立方体をずらすことにより、ファサード側には駐車スペース、裏側にはコンパクトな庭という、2つの「余白」を生み出している。

2つの立方体のうち、大きな立方体の1階を御両親が住まわれる親世帯住居とし、小さな立方体の1、2階と大きな立方体の2階を子世帯としている。親世帯と子世帯の面積バランスを図りつつ、コストを抑える計画である。

建て主さんは開口部がほとんどないシンプルなファサードを希望されていたので、ファサード側は2つの縦型スリットに玄関や開口部を集約し、それぞれの世帯へはそのスリットからアプローチする。閉じられたファサードとは対照的に、内部は庭への視線の抜けが感じられる空間としている。2つの立方体のズレにより、ナナメ方向への視線の抜けが生まれることも特徴である。

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