急増する住宅ローン困窮者
住宅販売者にも資金相談スキルが求められる時代に

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過去最低基準のローン金利も物件価格は上昇中。
問われる住宅販売者の倫理観

このような状況下にも関わらず、住宅ローンの融資額は伸び続けているという現状があります。これはコロナをきっかけに住まいの見直しがなされているという背景もありますが、住宅ローンの低金利も後押しとなっていることは間違いないでしょう。フラット35の金利推移を見ても現在の金利がほぼ最低基準となっていることがわかります。加えて住宅ローン減税もあるので消費者にとっては住宅購入しやすい状況であると一般的には言えるでしょう。

しかし物件価格については図表2の調査データの通り、逆の動きを見せています。

金利の低下によって需要が伸びていると考えれば自然な動きではありますが、それでも一部の物件、特にマンションの価格については10年前と比較して1.5倍以上の水準となっており、過熱気味であることは否めません。そのためこういった物件については低金利の恩恵よりも価格高騰の弊害が勝ってしまうという現象も起きています。試しに図表3の通り現在の基準と10年前の基準でそれぞれローン返済額のシミュレーションを行います。そうしますと現在のローン金利、マンション価格で組む方が総支払額は約872万円も高くなる見込みです。

これはリーマンショック直後の水準との比較なので少し極端な例ではありますが、いずれにせよ「金利が安いから今が買い時」とは一概に言えないことがわかると思います。だからこそ住宅販売者においても低金利だからといって安易に高額な物件を勧めるのではなく、お客様の身の丈に合った住宅の提案をする倫理観が求められていると言えるでしょう。

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